西国三十三所 https://www.saikoku33.gr.jp/

 ≪1300年つづく日本の終活の旅 〜西国三十三所観音巡礼〜≫

 究極の終活とは、ただ死に向かって人生の整理をすることではない。 人生を通して、いかに充実した心の生活を送れるかを考えることが、日本人にとっての究極の終活である。 そして、それを達成できるのが西国三十三所観音巡礼である。

 日本人は海外の人から『COOL!』だと言われる。 そのように評価されるのは、優しさ、心遣い、勤勉さといった日本人の本来の心であり、実はそれは日本人が親しんできた「観音さん」の教えそのものである。 観音を巡り日本人本来の豊かな心で生きるきっかけとなる旅、それが西国三十三所観音巡礼なのだ。

出所:文化庁 令和元年度「日本遺産(Japan Heritage)」認定概要


 交通機関が発達していなかった昔は、現在のように誰でも簡単に西国観音巡礼へ行けるわけではありませんでした。 巡礼にはお金と体力が必要です。 そこで考えられたのが写し霊場と代参です。

 本物の西国三十三所観音へ巡礼するだけのお金も体力もない。 ならば近場に西国観音霊場を写した霊場を作って巡礼しようということになったわけです。 坂東三十三箇所も写し霊場のひとつらしいですが、大小さまざまな写し霊場が全国の至る所につくられました。

 でも写し霊場はあくまでも写し。 やっぱり本物の西国観音霊場を巡礼したい。 自分の脚で巡ることが無理なら、せめて代理の人にお願いして本物に巡礼してもらおうと、皆でお金を出し合って村の若者らを送り出したのです。

 今ではほとんど消滅しかかった風習ですが、管理人の地元の京都市南部には祭祀の時に御詠歌を歌う観音講という集まり(主に女性)があります。 観音講とは文字通り観音菩薩を信仰する人たちの集団という意味で、団体で巡礼をしたり、代参のお金を出し合ったりする集まりでしたが、やがて定期的に集まってお茶を飲んで駄弁る女性の息抜きの場にもなっていったようです。 観音講の他には念仏講と呼ぶ集まり(こちらは男性主体?)もありました。

 1300年の時を経て今なお人々の心を惹きつけて止まない西国三十三所観音巡礼。 日本遺産に選ばれたのは、至極当然のことだと思います。

更新日:2022/03/31