近畿三十六不動尊 https://fudo36.net/

 近畿三十六不動尊霊場は、昭和54年(1979)に古寺顕彰会の下休場義治(しもやすばよしはる)氏が中心になって開設された霊場です。

 古寺顕彰会刊の『近畿三十六不動尊』から霊場開設のいきさつを以下に引用します。

はじめに

 お不動さんばかりの巡拝霊場が出来上りました。 これは、昭和四十七年、大阪府仏教会会長、国分寺管長の西口公教様が、「現代宗教」の秋庭政吉氏および「仏教タイムス」の坪田吾一氏に対して、不動尊巡拝霊場設定の話をされたのがはじまりで、その後、数回発起人会を開く等すると共に、関係紙に「不動めぐり」を掲載し、準備を進めて来られましたが、諸種の事情により中断されていました。

 昭和五十一年に至り、今は亡き坪田氏から、私にこの仕事をするよう話があり、更に、西口管長様から依頼されるとともに、犬鳴山七宝滝寺管長東条仁進様をはじめ、多くの方々から話がありました。 私は、微力乍らお引受けすることに決意し、会員と共に、近畿二府四県(大阪、兵庫、京都、滋賀、奈良、和歌山)を中心に、近県を含めて、百数十ヵ寺へ実際にお参りして、宗派には一切とらわれず、寺の由緒沿革、寺観、交通事情、宗教活動、庶民の不動尊信仰の定着性、その他を考慮の上、専門家をはじめ多数の方々の意見を聞き、最終的に、ここに加盟の三十六ヵ寺[1]が決定されたのであります。

 その範囲を近畿二府四県に限定し、寺の数を三十六に定めたことについても、いろいろの建設的な御意見があり、加盟寺院の選定についても、自薦、他薦ありで、本当にありがたい限りでした。

 霊場の数については、当初、お不動様の縁日の二十八日を考えて、二十八ヵ所にすることで進んだのでありますが、結局、我々人間の基本的煩悩三十六支を、三十六ヵ所の寺にお参りすることによって消除し、幸福を招来するするため、また、不動尊の眷属(けんぞく)三十六童子に因んで、三十六ヵ所になったのであります。 すべて、仏縁と御理解いただきとう存じます。

<略>

 昭和五十四年五月八日

古寺顕彰会会長 下休場義治

 近畿三十六不動尊霊場会では、専用の宝印帖、宝印軸、不動念珠玉が用意されています。

 宝印帖(左図)はバインダ式です。 各寺院で不動明王像のイラストと御詠歌が書かれた納経紙を授かり、ここに綴じていきます。

 不動念珠玉は寺院名を金文字で名入れした水晶玉で、各寺院で1個ずつ授かって36個揃うと不動念珠が完成し、さらに三度の巡礼で108個揃うと本連念珠(装束念珠)になります。

 満願成就すると下図のような「満願之証」がいただけるのですが、これには第○回と回数が書かれます。 霊場会では3回の満願、計108不動尊の巡拝が推奨されています。

 霊場開設当初の第16番は実相院(京都市左京区)、第21番は同聚院(京都市東山区)でしたが、それぞれ三千院と中山寺に変更されました。 このため、第20番智積院(京都市東山区)→第21番中山寺(兵庫県宝塚市)→第22番不動院(京都市伏見区)は、順路として不自然な並びになっています。

更新日:2020/03/06