四智と五智

 四智(しち)と五智(ごち)は、仏教において仏・羅漢などが持つ4種ないしは5種の智慧のことを言います。

 宗派や仏によって名称や内容が異なります。

 密教では五智を五智如来と呼ぶ5体の如来にあてはめています。

四智(唯識派)
名称 読み方 意味
1大円鏡智 だいえんきょうち 万物の真理の姿を示す智慧
2平等性智 びょうどうしょうち 自他が根本的に区別のない同一の存在であることを知る智慧
3妙観察智 みょうかんざっち 教化の対象をよく知り、的確な説法を行う智慧
4成所作智 じょうしょさち 対象に適した変化(へんげ)を示す智慧

五智(密教) 関連
名称 読み方 意味 五智如来
1法界体性智 ほうかいたいしょうち 大日如来の智の総体 中央:大日如来
2大円鏡智 だいえんきょうち ≪四智を参照≫ 東方:阿閦如来
3平等性智 びょうどうしょうち ≪四智を参照≫ 南方:宝生如来
4妙観察智 みょうかんざっち ≪四智を参照≫ 西方:阿弥陀如来
5成所作智 じょうしょさち ≪四智を参照≫ 北方:不空成就如来

五智(浄土教)
名称 読み方 意味
1仏智 ぶっち 完全円満な仏の智慧。阿弥陀仏の智の総名
2不思議智 ふしぎち 凡夫(ぼんぶ)の思議の及ばない智慧
3不可称智 ふかしょうち ほめ尽せない智慧
4大乗広智 だいじょうこうち 一切の衆生(しゅじょう)を救う広大な智慧
5無等無倫最上勝智 むとうむりんさいじょうしょうち なにものにも比べることができないもっともすぐれた智慧