九品往生

 九品往生(くほんおうじょう)とは、極楽浄土へ往生する際の9つのパターンのことで、浄土三部経のひとつ『観無量寿経』に説かれています。 人の往生には上品・中品・下品(合わせて三品(さんぼん)という)があり、さらに各々に上生・中生・下生があって、合計9パターンという考えです。

 九品往生を形に表したのが九品仏と呼ばれる9体の阿弥陀仏で、京都の浄瑠璃寺(別名、九体寺)が有名です。 九品を印相(いんそう)(=両手と指で示す形)の違いで表現する場合もありますが、浄瑠璃寺の阿弥陀仏はそうではなく、中尊が来迎印、脇仏8体が定印(じょういん)になっています。

 また三品は一般に使われる上品(じょうひん)・下品(げひん)の語源とされています。

※ 「品」の文字は、九品だけ「ほん」と清音で読み、その他は「ぼん」と濁音で読みます。

三品
名称 読み方 解説
1上品 じょうぼん 大乗にめぐりあうため遇大(ぐうだい)といいます。
第十四観、上輩生想(じょうはいしょうそう)
2中品 ちゅうぼん 小乗にめぐりあうため遇小(ぐうしょう)といいます。
第十五観、中輩生想(ちゅうはいしょうそう)
3下品 げぼん 悪をなし無間の非法を行うため遇悪(ぐうあく)といいます。
第十六観、下輩生想(げはいしょうそう)

九品
名称 読み方 解説
1上品上生 じょうぼんじょうしょう 勇猛果敢な大乗仏教の行者。
2上品中生 じょうぼんちゅうしょう 大乗仏教をよく理解し信じる者。
3上品下生 じょうぼんげしょう 大乗仏教を信じうやまう者。
4中品上生 ちゅうぼんじょうしょう 戒律をまもる上座部仏教の修行者。
5中品中生 ちゅうぼんちゅうしょう 上座部仏教の在家信者。
6中品下生 ちゅうぼんげしょう 世間の道徳をまもる善男善女。
7下品上生 げぼんじょうしょう 悪業を多くつくり反省のない悪人。
8下品中生 げぼんちゅうしょう 戒を破り仏教をはずかしめる悪人。
9下品下生 げぼんげしょう ありとあらゆる罪悪を犯した大悪人。


出所:『歴史とのふれあい 寺院と仏像 鑑賞の手引』

更新日:2023/06/08