六字名号、九字名号、十字名号

 名号(みょうごう)とは、仏・菩薩の称号のことをいいます。 一般にはすべての仏・菩薩の称号のことですが、浄土教では特に阿弥陀仏の名前をさしていい、「六字名号」「九字名号」「十字名号」がよく知られています。

 六字名号(ろくじみょうごう)とは、 「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」の六文字のことをいいます。 「南無」が帰依する(=信じてその力にすがる)という意味なので、全体で阿弥陀仏に帰依するという意味になります。 名号の中では六字名号が最も尊重されており、本尊として用いられる場合があります。

 九字名号(くじみょうごう)とは、 「南無不可思議光如来(なむふかしぎこうにょらい)」の九文字のことをいい、意味は「南無阿弥陀仏」と同じです。 「不可思議光」はどのように言葉を尽くしても捉え切れない智慧のはたらきという意味で、「不可思議光如来」は阿弥陀仏のことを指します。

 十字名号(じゅうじみょうごう)とは、 「帰命尽十方無碍光如来(きみょうじんじっぽうむげこうにょらい)」の十文字のことをいい、意味は「南無阿弥陀仏」と同じです。 サンスクリット語のnamas(ナマス)の漢訳が「帰命」、音写が「南無」なので、「帰命」と「南無」は全く同じ意味です。 また「尽十方」はあらゆる場所、「無碍光」は何物にも遮られない仏の発する智慧や救済力の光という意味で、「尽十方無碍光如来」は阿弥陀仏のことを指します。

 他に「南無不可思議光仏(なむふかしぎこうぶつ)」という八字名号もありますが、これも「南無不可思議光如来」つまり「南無阿弥陀仏」と同じ意味です。

名号
種類 称号 読み方 経典
6六字名号 南無阿弥陀仏 なむあみだぶつ 『観無量寿経』の「下品下生」
「かくのごとく心を至して、声をして絶えざらしめて、十念を具足して南無阿弥陀仏と称せしむ。仏名を称するがゆえに、念念の中において八十億劫の生死の罪を除く。」
9九字名号 南無不可思議光如来 なむふかしぎこうにょらい 『讃阿弥陀佛偈』
「不可思議光 一心帰命稽首礼」
10十字名号 帰命尽十方無碍光如来 きみょうじんじっぽうむげこうにょらい 『無量寿経優婆提舎願生偈』(『浄土論』『往生論』)
「世尊我一心 帰命尽十方 無礙光如来 願生安楽国」

更新日:2017/11/13