神仏霊場 http://shinbutsureijou.net/

 神仏霊場は、宗教学者の山折哲雄氏の提唱により、明治維新以前の神仏同座、神仏和合の精神の復活を目指して創設された新しい霊場です。

 平成17年(2005)3月、「西国神仏霊場設立準備室」が延暦寺内に置かれ、平成20年(2008)3月、近畿を中心とする124社寺と伊勢神宮の125霊場で「神仏霊場会」が設立されました。 その後26社寺が霊場会に加入し、同年9月には150社寺151霊場による公式な参拝朱印帳(右図)が制作されました。

 さらに平成30年(2018)に奈良の2社寺が霊場会に加わり、令和元年現在、152社寺153霊場となっています。

 公式朱印帳に書かれている霊場会設立の趣旨文を以下に転載します。

 日本の宗教は、わが国古来の神祇信仰に、伝来した仏教が交流することによって、独自の信仰体系を築いてきた。 つまり、神も仏もともに尊崇するという信仰形態である。 そのような中で、仏教は日本の神々を仏教教理の中に取り込んで発展し、神道は特に中世には仏教やその他の教えを取り入れて、独自の神道説を創り上げてきた。 神仏をともに祀り、ともに拝むという伝統的な信仰が、長く続いてきたが、そのような信仰は、明治に入り神仏分離政策によって、神と仏とを区別するようになり、やむなく崩されてしまった。

 わが国の伝統的な神と仏とに対する信仰を真摯に見直し、本来あるべき信仰の姿を取り戻そうとする動きが、近年神道界仏教界双方から自然に起きてきた。 つまり、神への祈りも仏への祈りも、心の安らぎを求める信仰には、変わりはないのである。 神社に参拝し、そしてお寺に参詣して、諸願成就を祈るのは、日本人の偽らざる心情である。 特定の神や仏に対して信仰深い人は、その特定の神や仏菩薩を信仰の対象としているであろう。 霊験あらたかな神や仏への祈りは、それぞれ個人の篤い信仰で支えられている。 このようなわが国独自の信仰形態を、実際の神社巡りと寺参りに、実現しようとしたのが、神仏霊場会の社寺巡拝である。

 いま百数十の社寺の参加があるが、主として関西地区を中心としている。 そのひとつひとつの社寺には、長い歴史を伝統があって、それぞれがすぐれた宗教的霊地である。 その信仰の地を巡拝し、新たな信心を持つことも、測り知れない喜びであろう。 巡拝の順路は、いろいろ考えられるが、個人々々それぞれにあった方法で、お参りして頂きたい。 全部の社寺を巡拝する方法もよし、また個人の信仰する神仏を祀る社寺を選んで巡わるのもよし、それはその人の信仰心に委ねることになろう。 そして、一人で巡わる人もいるであろうし、また家族で巡わる人もあるであろう。 その方法は、全く個人々々の自由である。 願わくは、この神仏霊場会の社寺巡拝が、多くの日本人の信仰心に支えられ、そしてなによりも、わが国の将来を担う若い人達に魅力ある信仰の場を提供するものであることを願ってやまない。

平成二十年九月八日

神仏霊場会

 公式参拝朱印帳には、満願を達成したときに最後の寺社で「満願の証」発行をお願いする用紙がついています。それでは皆さんのご健闘をお祈り申し上げます。

更新日:2020/03/02