日向地蔵尊縁起と記録 開眼供養之疏
|開眼供養之疏|

開眼供養之

テ釈迦弥陀十方ノ諸佛乃至盡虚空法界一切三宝ニ白フシテ言ク ニ今本道場ヲ莊厳香華燈菓等ヲ献備シシク 日向地藏大菩薩開眼供養ノ大法會ヲ勤修セントス
ソモ/\[1]日向地藏尊ハ安政五年十月陽泉亭松村德翁居士ノ発願ニ依リ建立セラレ、 併セテ小石ニ一々経文シ一字一石大乘妙典塔ヲ 建設セラレテヨリ此方明治十二、三年廃佛毀釈ノ法難ニ相遇セラルヽヤ本町ノ信者等驚キ且ツ嘆キ数年ノ間キ信念ノ擁護ニヨリテ御僻難遊バサレク没収ノ難ヲ免カレ給ヒテ元ノ地域ニ還リ玉ヒタリ、 星移リ月カハリテ大正二年春二月平塚鹿次郎 木村夘之吉 故藤井磯吉當町観音講中ノ諸氏発起トナリ有志者ノ浄財喜捨ニヨリテ堂宇新築セラレ益々當町信仰ノ中心ヲナスニ至リタリ
遇々数十年間失ナハレシ一字一石大乗妙典塔ヲ探シ出シ木村夘之吉氏観音講中ト相ヒ計リ地域ヲ擴張シ堂宇ヲ修理シ有志者ノ懇志ニヨリテ風致ヲ清浄ナラシメ面目ヲ一新スルニ至リタリ
コレニ依ツテ陽泉亭ノ願意ニモヒ菩薩報恩ノ一端ニ志セントスルモノナリ
仰キ願クハ日向地藏大菩薩本道場ニ降臨シ我等ノ微衷照鑑哀愍納受シ玉ハン事ヲ

 維時昭和四年十月二十三日

祥雲山明吉寺住職
興空寛隆 敬白

附記

九月上旬前記有志者集議決するや下旬明吉寺住職堀田寛隆師導師にて地蔵尊遷佛の式を勤修し 町内有志者労力を奉仕し 十月廿二日修理全て成功し 翌廿三日佛日を期して導師明吉寺服[2]導師西蔵寺住職泉学洋師を懇招し 深見梅次郎氏宅より町の総代数名、西条尼講、村婦人会当支部委員、村長平塚繁次郎氏代理岡崎清右ヱ門助役参列せられ 尊の開眼大法會を午后二時より嚴修せり
此の日天気清朗にして紫雲たなびき法要日和にして町内婦人達は早朝より■■お供養の調理に侭力し町内は法要気分也き

[1]原文は縦書きのくの字点[〱]が使われていますが、ここでは横書きのため「/\」と表記します。
[2][副]の誤記と思いますが、原文通り[服]と表記します。

更新日:2022/02/09