現在、保持している曲目は数多くありますが、上演中はほとんど無声で、古来から伝わっている唄や詩あるいは拍子を口ずさんで演じます。
保持曲目は全部で19種類あり、上演には概ね1時間半を要します。
現在、主な年中行事として吉祥院天満宮の春季大祭(4月25日)と夏季大祭(8月25日)に奉納されています。(午後8時から)
- 発願(ほつがん)
白ハリ太鼓が左右に分かれ、奥に鉦、笛、二丁鉦が並ぶ。鉦の一人が導師となり鉦の拍子で「発願」の文を唱え、終ると念仏となり、称名に合わせて鉦、太鼓が拍子を打つ。
- 鉄輪(かなわ)
正面奥に二丁鉦、白ハリ太鼓が左右に分かれ、隣同志が向き合い二人一組になって、白ハリを振り回しながら表裏に打ち分ける。
- 王川(たまがわ)
演者の位置・構成が「鉄輪」と同じ太鼓曲。笛の変化が美しく、白ハリ太鼓の表打と裏打の掛け合いが変化に富む。
- さらし
「鉄輪」と同じ構成で隣合う者が二人一組となり表と裏の掛け合いをする太鼓曲。曲のはじめに一人打のところがある。
- 盛衰記(せいすいき)
「鉄輪」と同じ構成で白ハリ太鼓二人ずつが組み、表・裏になって相打ちする太鼓曲。リズムも変化に富んだ派手な曲。
- 羽衣(はごろも)
白ハリ太鼓が客席に向かって並び、表・裏になって演じる太鼓曲。テンポが最も速く、交互に打ち分けるブチさばきが見どころになる早打曲。難曲の一つ。
- 朝野(あさの)
中央に大太鼓、その左右に白ハリ太鼓が並び、大太鼓が主奏し、白ハリ太鼓がそれをはやす曲。
- 獅子太鼓(ししだいこ)
「獅子舞」前奏曲。中太鼓が太鼓の打合いを見せ、終わると大太鼓が入って獅子を呼び出す。
- 和唐内(わとうない)
和唐内が兵や獅子と立回りの末、それらを屈服させて、都へ引き連れて都に帰るさまを演じる芸物。鉦・笛・太鼓の囃子がつく。
- 獅子と土蜘蛛(ししとつちぐも)
獅子が寝入ると土蜘蛛が現れて獅子とたわむれ、やがて闘争となり、獅子がついに敗れるかたちで終了する。クモの巣(セイと呼ぶ)を豪勢に撒くところが見どころ。
- 回向唄(えこううた)
結願の念仏曲で鉦・太鼓を打って納める。発願に始まり回向唄に終わるのが一山打の本来であるが、上演の都合上、獅子太鼓の前に演じられることが多い。
- 焼香太鼓(しょうこだいこ)(特別曲)
導師を中心に銀太鼓、金太鼓がそれぞれ対向する位置取りで行われる。はじめは坐奏、途中からは太鼓だけ立ち鉦とともに立奏する。六斎念仏中唯一の儀式形態を残すもので、古式の装束(直垂(ひたたれ)、風折烏帽子(かざおれえぼし))を着用して演じられ、念仏としてその形態をしっかり伝承している。特別の場合のほかは常には上演しない。
- 大文字(だいもんじ)
大太鼓を中に、中太鼓が左右に分かれて対向し、その位置で一打ちしたあと、大太鼓を中にして円陣になり、右回りに回りながら芸打ちする。大文字屋の番頭をはやしたてたものと伝える。
- つつて
左右に対向する白ハリ太鼓が、上打ち下打ちに分かれて、上打ちが主題を打つ。緩急の変化が見事である。
- 岩見重太郎(いわみじゅうたろう)
岩見重太郎のヒヒ退治を演じる芸物で、鉦・太鼓・笛の囃子が付く。妖怪変化の地舞、妖怪変化と岩見重太郎の立回り、ヒヒ(猿)と岩見重太郎の立回りの三段からなる。
- 四ツ太鼓(よつだいこ)
中太鼓四個を枠にはめて中央に据え、太鼓打が一人又は二人でテンポ早く四ツの太鼓を軽妙に打ち分ける。二本ブチと左肩にブチをかたげて右だけで打つ一本ブチとがある。また、太鼓を六個に増やし、二人で相打ちする「六ツ太鼓」がある。
- 安達ヶ原(あだちがはら)
修行僧二人が安達ヶ原の鬼女の家に泊まった光景を手踊で見せる芸物。鉦・笛・太鼓の囃子がつき、太鼓がブチ打ちで表現する。
- 祇園囃子(ぎおんばやし)
祇園祭の囃子によって、中太鼓が踊り打ちを演じる曲で、はじめ・ながし・上げの三段からなる。鉦と笛が賑やかに囃すのに合せて、対向する二人が所作を交えていろいろと中太鼓を打ちめぐる。祇園祭の月鉾の囃子を取り入れたものといわれている。
- 獅子舞(ししまい)
二人立の獅子舞で、大太鼓の囃子で登場し、地回り、後足立、前足立、獅子返り、肩立ち、孔雀などの曲芸やノミトリなどの所作もある。これが終わると獅子はその場で眠り、「獅子と土蜘蛛」に続く。
出所:『吉祥院六斎念仏』パンフレット
更新日:2024/10/04