吉祥院天満宮
祭 神菅神霊(菅原道真公)
創 建承平4年(934)、朱雀天皇の勅願により怨霊鎮魂のため社殿を築いて道真公の霊を祀ったことに始まる
社 格旧村社
例 祭10月13日
所在地〒601-8331 南区吉祥院政所町3
電 話075-691-5303
URL
摂末社吉祥天女社(吉祥院)、小宮社(五社:白太夫社・松梅社・吉野社・琴比羅社・秋葉山)、稲荷社、弁財天社

 私(管理人)の心の霊場のひとつは、西大路十条の西、南区吉祥院政所町にある吉祥院天満宮です。

 京都で天満宮といえば北野天満宮が一番有名ですが、吉祥院天満宮は承平4年(934)の創建で北野天満宮よりも古く、朱雀天皇の勅命によって創建された大変由緒ある天満宮です。 そして所在地は道真の祖父清公(きよきみ)卿の邸のあったところで、道真の誕生地とされています。

 道真が天神になってからの吉祥院天満宮は大いに栄え、雄壮な社殿をもち、鳥羽天皇をはじめとする歴代天皇による勅祭が行われていました。 しかし、残念ながら豊臣秀吉によって神領を没収され、江戸時代以降は勅祭も廃止されて規模も縮小してしまいました。

 吉祥院天満宮の名前は吉祥院にあることによりますが、そもそもの吉祥院という地名の由来を知っている人は意外に少ないようです。

 吉祥院天満宮の境内に吉祥天女堂というお堂があります。 元は海上山吉祥院という仏教寺院で、天満宮が創建される120年以上も前の大同3年(808)に、道真の祖父清公卿によって建てられた氏寺です。 つまり、吉祥天女をお祀りするお堂が吉祥院と名付けられ、そこから吉祥院の地名が生まれ、そしてそこに創建された天満宮が吉祥院天満宮と呼ばれるようになった(でも正式名称は天満宮らしい)というわけです。

 吉祥院天満宮で一番有名なものは、国の重要無形民俗文化財に指定されている六斎念仏でしょう。 地元では短縮して「六斎」と呼び、毎年4月25日と8月25日の大祭で奉納されます。

 私(管理人)が子供の頃は、町内の地蔵盆とともにこの六斎が夏休み最後[1]のそして最大の楽しみでした。 夜店での買い物やゲームが楽しかっただけでなく、岩見重太郎と猿(ヒヒ)の立ち回り、碁盤の上での獅子のアクロバティックな逆立ち、糸を撒く土蜘蛛と獅子の対決などの演目を見て心躍らせたものです。 そして六斎が終わると、夏休みの宿題の追い込みに取り掛かりました。

 また、吉祥院天満宮は六斎の時だけでなく、普段からも小学生にとって絶好の遊び場でした。 近所の兄ちゃんや同級生と一緒に紙芝居を見て駄菓子を買ったり、ツツジの花を摘んで蜜を吸ったり、手水所の手押しポンプでいたずらをしたり、境内で野球をしたりと。 今から考えてみると、よく叱られなかったものです。


[1]今は小学校の夏休みが短くなって、六斎の日は既に2学期が始まっています。

更新日:2018/11/29