京師五三昧

 三昧所(さんまいしょ)とは、死者を火葬したり埋葬したりする所、つまり火葬場や墓地のことです。 三昧場(さんまいば)とも言い、また略して三昧(さんまい)とも言います。

 平安時代に畿内の有名な5か所の火葬場を五三昧所(ごさんまいしょ)と呼びました。 その5か所とは山城(京都)の鳥辺野と船岡山、大和(奈良)の般若野(はんにゃの)、その他とされていますが、時代によって違いがあるようです。

 京師五三昧とは文字通り京都にある5か所の火葬場のことですが、こちらも固定したものはなく時代により変化したようです。

京師五三昧 備考
日次記事
(1676)
奇異雑談集
(1687)
京羽二重
(1705)
「京師五三昧」考
勝田至著 (1996)
1船岡山 千本 舟岡山 千本(蓮台野)
2中山 中山 (中山)[1] 中山 神楽岡(吉田山)と栗原岡(黒谷)の間
3鳥戸山 延年寺 鳥部山
鳥辺野
4最勝河原 三条河原[2] 西院(サイ) 最勝河原(三条河原)
5珍皇寺
6 東寺四塚 四塚
7 あみだが峯
8 竹田
[1]「竹田」の下に小さく「イ中山」と書かれており、「竹田」に代わる異説を示すと推測しました。
[2]西光庵は洛外の5か所を時計周りに巡っており、三条河原が鴨川西岸だと辻褄が合いません。 三条河原=最勝河原(西所川原)=西院と考えるのが妥当と思われます。
● 日次紀事 [延宝4年(1676)]
⇒ 愛媛大学図書館 鈴鹿文庫:日次紀事 十一月❐  十三日
又到洛外五三昧場 國俗火葬之場称三昧 南京五箇所行基菩薩之所定也 北京五箇所者弘法大師所定置 所謂船岡山中山鳥戸山最勝河原珍皇寺是也
● 奇異雑談集 [貞享4年(1687)?]
⇒ 早稲田大学 古典籍総合データベース:奇異雑談集❐  巻四 (六)
(六)四条の西光庵五三昧を廻りし事
・・・ 初夜時より顎に鉦鼓をかけ。身に破衣をきて先東寺四塚にゆきて。罷物処におひて。念仏一二百ぺん。かうじやうにとなふ。 てんせい音聲よき人なり。 次に三条河原に行ても。また一二百ぺんとなへ。 また千本にゆきて罷物処におひて。一二百ぺんとなふ。 東にゆき河をわたり。中山の罷物処にゆきて。また一二百ぺんとなへ。 また延年寺に行ても。一二百ぺんとなへ。回向してあかつき京にかへる。
● 京羽二重 [宝永2年(1705)]
⇒ 京都府立総合資料館所蔵・京都地誌閲覧システム:京羽二重 巻四 三十❐
五三昧
あみだが峯 舟岡山 鳥部山 西院サイ 竹田イ中山

更新日:2023/12/18