西岡十一カ郷

 西岡(にしおか/にしのおか)は、京都盆地西部の桂川右岸(山城国乙訓郡・葛野郡の一部)一帯をさす地名で、その中で室町期に組織された11の諸郷の連合体が西岡十一カ郷(にしおかじゅういっかごう)です。

山城国桂川用水差図案
(出所:東寺百合文書WEB ❐

 ただ、西岡十一カ郷の郷名を明確に示した資料はありません。 山城国桂川用水差図案(右図)に記された12の郷のうち、御庄(現在の地名は不明)を除く11が一般に西岡十一カ郷とされています。

 西岡十一カ郷は桂川から引く用水の確保を目的に結成された側面が強く、肥沃な土地の生産力を背景に有力な国人・土豪・地侍が台頭して、自治的な組織を作っていました。 桂川西側の下五カ郷と東側の石清水八幡宮領西八条西荘との間では、水利用をめぐる争いが絶えなかったそうです。

 長享元年(1487)、西岡十一カ郷の国人・地侍が組織した国一揆が西岡十一カ郷国一揆で、これを乙訓国一揆とも言います。

西岡十一カ郷 読み方 上六カ郷 下五カ郷 現在の地名
1徳大寺 とくだいじ 西京区徳大寺清水町
西京区桂(徳大寺町・河田町・後水町・畑ケ田町・大縄町)[1]
2上桂 かみかつら 西京区上桂
3下桂 しもかつら 西京区桂(浅原町・朝日町・池尻町・上豆田町・下豆田町・久方町、他)
4河嶋(川島) かわしま 西京区川島
5下津林 しもつばやし 西京区下津林
6寺戸 てらど 向日市寺戸町
7牛瀬 うしがせ 西京区牛ケ瀬
8上久世 かみくぜ 南区久世(上久世町・高田町・川原町)
9下久世 しもくぜ 南区久世(殿城町)
10大薮 おおやぶ 南区久世(大藪町)
11築山 つきやま 南区久世(築山町)
[1]右京区に旧徳大寺村の一部(西京極徳大寺)がありますが、ここは桂川左岸のため西岡に含まれません。

更新日:2022/11/12