京の七つの森

光福寺 案内板

 光福寺の案内板(右図)に「京の七つの森」についての記述がありますが、これ以外の情報は見当たりません。

 京羽二重には森として「多武杜、斎森、片岡森、檜垣森、浮田森、大荒森、衣手森、羽束師杜、柞森、神南備杜、柏杜、大宮森、藤森、大椋森、雀森、聖護院森、糺森」の17か所が書かれています。 これらは七森の有力候補と思われますが、不思議なことに「蔵王森」は含まれていません。

七つの森 読み方 場所
1糺の森 ただすのもり 下鴨神社
2蔵王の森 ざおうのもり 光福寺
3藤の森 ふじのもり 藤森神社

 残り4か所は不明ですが、Web上に推定情報がありましたので以下にご紹介します。

七つの森
(推定)
読み方 場所
4幸神の森 さいのかみのもり 朝日神明宮
5鷺の森 さぎのもり 鷺森神社
6衣手の森 ころもでのもり 衣手神社
7羽束師の森 はづかしのもり 羽束師神社

● 京羽二重 [宝永2年(1705)]
⇒ 早稲田大学図書館
多武杜たふのもり 洛の南吉祥院の下也太閤秀吉公高麗陳の首途かとてに此所通たまひ唐を打取るへきかどでよしとて燒拂ひたまへりとぞ
いつきの森 上賀茂本社の傍也鴨の長明歌ことの葉にかけても何かおもひ出の斎の社のしめの下草
片岡かたをか森 賀茂川より北の方なり紫式部歌時鳥聲まつほとは片岡の森の雫にたちやぬれまし
檜垣ひかき森 白川の北なり其事は檜垣の謡に出る
浮田うきたの森 淀の小橋の北大あら木のもりにちかし人丸歌かくしつゝさでややみなん大あらきの浮田のもりのしめならなくに
大荒森おほあらきのもり 爰も浮田のもりおなしあたりなり又北山市原村のあたりに同名あり
衣手森ころもでのもり 松尾とあらし山の中の間なり續拾遺爲氏歌をりはへて音になきくらす蝉の羽の夕日もうすき衣手の森
羽束師杜はづかしのもり 横大路の西あり俊成卿歌もらしても袖やしほれん數ならぬ身をはつかしの森のしつくは
柞森はゝそのもり 京より大和へゆく道狗野の西にあり後拾遺堀川左大臣いかなれはおなししくれに紅葉する柞の杜のうすくこからむ
神南備杜かみなみのもり 山崎の西也賀茂春日兩社并し故に云爾也其間に久我の里あり
柏杜かやのもり 紫野の傍なり
大宮おおみやの森 賀茂へゆく道にて都のにし大宮通はこの森のすちなり
ふぢの森 深草の南の方也
大椋おほむく森 宇治とこわたの中間也三室戸にちかし
すゞめの森 壬生の東野かた也
聖護院しやうごいん森 賀茂川の東三条の北なり此所に熊野權現の御社あり
たゝすの森 下賀茂の森なり

更新日:2022/11/30