十六羅漢

　仏教において尊敬や施しを受けるに相応しい聖者のことを、羅漢（らかん）または阿羅漢（あらかん）と言います。

　つまり十六羅漢（じゅうろくらかん）とは、仏教における１６人の最高の羅漢（＝聖者）のことで、眷属（けんぞく）として多くの羅漢を有しています。

　囉怙羅尊者は釈迦の長男で、この中で唯一十大弟子に選ばれています。

　「法住記」に示される十六羅漢に慶友と賓頭盧（びんずる）、または迦葉（かしょう）と軍徒鉢歎（ぐんとはつたん）の二尊者を追加して「十八羅漢」と呼ぶことがあります。

　また仏陀に常に付き添った500人の弟子、または仏滅後に集まった500人の弟子を「五百羅漢」と呼びます。

『大阿羅漢難提蜜多羅所説法住記』　十六羅漢
尊者	名前	読み方	眷属	在住地
1第一尊者	賓度羅跋囉惰闍 別 跋羅駄闍 賓頭盧尊者[1]	びんどらばらだじゃ	1000	須弥山の西大陸 詳 西瞿耶尼洲（さいくやにしゅう） 西牛貨洲（さいごけしゅう）
2第二尊者	迦諾迦伐蹉	かにゃかばっさ	500	北方 詳 迦湿弥羅国（かしゅうみらこく）
3第三尊者	迦諾迦跋釐堕闍 別 諾迦跋釐駄	かにゃかばりだじゃ	600	須弥山の東大陸 詳 東勝身洲（とうしょうしんしゅう）
4第四尊者	蘇頻陀	そびんだ	700	須弥山の北大陸 詳 北倶盧洲（ほっくるしゅう）
5第五尊者	諾距羅 別 諾矩羅	なくら	800	須弥山の南大陸 詳 南瞻部洲（なんぜんぶしゅ）
6第六尊者	跋陀羅	ばっだら	900	洲 詳 躭没羅洲（たんもらしゅう）
7第七尊者	迦哩迦 別 迦哩	かりか	1000	洲 詳 僧伽荼洲（そうかだしゅう）
8第八尊者	伐闍羅弗多羅 別 弗多羅	ばっじゃらほつたら	1100	洲 詳 鉢刺拏洲（はらだしゅう）
9第九尊者	戎博迦	じゅばくか	1200[2]	山 詳 香酔山（こうすいせん）
10第十尊者	半託迦 別 半諾迦	はんたか	1300	須弥山の頂上 詳 三十三天（忉利天）
11第十一尊者	囉怙羅 別 羅怙羅	らごら	1100[3]	洲 詳 畢利颺瞿洲（びりようくしゅう）
12第十二尊者	那伽犀那	ながさいな	1200	山 詳 半度波山（はんどはせん）
13第十三尊者	因掲陀	いんかだ	1300	山 詳 廣脇山（こうぎょうせん）
14第十四尊者	伐那婆斯	ばつなばし	1400	山 詳 可住山（かじゅうせん）
15第十五尊者	阿氏多	あした	1500	山 詳 鷲峯山（じゅふせん）
16第十六尊者	注荼半諾迦	ちゅだはんたか	1600	山 詳 持軸山（じじくせん）

[1]	賓頭盧尊者（びんずるそんじゃ）は、一般に「びんずるさん」と呼ばれ親しまれています。 仏堂の縁や正面脇によく置かれている「撫で仏」さんです。
[2]	1200以外に900の情報があり、どちらが正しいのか不明です。
[3]	1100以外に900と1000の情報があり、どれが正しいのか不明です。

• ｅ国宝　十六羅漢像（東京国立博物館）
• 奈良国立博物館　十六羅漢像

更新日：2024/01/15