六大師と十八大師

 大師(だいし)とは、特に高徳の僧に対して朝廷が贈る諡号(しごう)(=死後に贈るおくりな・尊称)です。 同様の諡号として他に国師号と禅師号があります。

 大師号が贈られた僧侶は25人で、一人で複数の大師号を贈られる場合もあります。

 大師号が贈られた25人の僧侶の中から特に選ばれた6人の高僧を六大師(ろくだいし)、18人の高僧を十八大師(じゅうはちだいし)と呼びます。 現代風に言えば、日本仏教界の高僧ベスト6とベスト18といったところでしょうか。

 現在、単に大師と言うと空海を指すことが多く、「大師は弘法に奪われ、太閤は秀吉に奪わる」という格言もあります。

大師 構成
大師号 読み方 僧名 生没年 宗・開祖 六大師
十八大師
1伝教大師 でんぎょう 最澄  767- 822 天台宗 開祖
2弘法大師 こうぼう 空海  774- 835 真言宗 開祖
3道興大師 どうこう 実慧  786- 847 真言宗
4慈覚大師 じかく 円仁  794- 864 天台宗
5法光大師 ほうこう 真雅  801- 879 真言宗
6智証大師 ちしょう 円珍  814- 891 天台寺門宗 開祖
7本覚大師 ほんがく 益信  827- 906 真言宗
8理源大師 りげん 聖宝  832- 909 真言宗
9慈恵大師[1] じえ 良源  912- 985 天台宗
10聖応大師 しょうおう 良忍 1072-1132 融通念仏宗 開祖
11興教大師 こうきょう 覚鑁 1095-1143 真言宗
12円光大師 えんこう 法然 1133-1212 浄土宗 開祖
13月輪大師 がちりん 俊芿 1166-1227 真言宗
14見真大師 けんしん 親鸞 1173-1262 浄土真宗 開祖
15承陽大師 じょうよう 道元 1200-1253 曹洞宗 高祖
16立正大師 りっしょう 日蓮 1222-1282 日蓮宗 開祖
17証誠大師 しょうじょう 一遍 1239-1289 時宗 開祖
18常済大師 じょうざい 瑩山 1268-1325 曹洞宗 太祖
19無相大師 むそう 関山慧玄 1277-1360 臨済宗
20微妙大師 みみょう 授翁宗弼 1296-1380 臨済宗
21円明大師 えんみょう 無文元選 1323-1390 臨済宗
22慧灯大師 えとう 蓮如 1415-1499 浄土真宗
23慈摂大師 じせつ 真盛 1443-1495 天台真盛宗 開祖
24慈眼大師 じげん 天海 1536-1643 天台宗
25真空大師 しんくう 隠元 1592-1673 黄檗宗 開祖
[1]一般には「元三(がんざん)大師」や「角(つの)大師」等の名で知られていますが、これらはいずれも通称であって、諡号の大師号ではありません。 良源の命日が正月の3日であることから元三大師と呼ばれています。

更新日:2020/10/08