六波羅蜜と十波羅蜜

 波羅蜜(はらみつ)あるいは波羅蜜多(はらみた/はらみった)は、仏教で最も深奥の修行(彼岸行)のことを意味します。

 六波羅蜜(ろくはらみつ/ろっぱらみつ)とは、『般若経』に書かれている6種類の波羅蜜のことで、「六度(ろくど)彼岸」ともいいます。

 意外と知られていないのですが、仏壇やお墓にお供えする物の中に六波羅蜜の行が顕されています。 意味を噛みしめながらお供えをすれば、いつもと違ったお参りになることでしょう。

布施 − 水
持戒 − 塗香(ずこう)
忍辱 − 花
精進 − 線香
禅定 − ご飯
智慧 − 灯明(ローソク)

 十波羅蜜(じっぱらみつ)とは、六波羅蜜に4種類を加えた10種類の波羅蜜のことで、『華厳経』などに書かれています。

波羅蜜 構成
名称 読み方 別称 意味 六波羅蜜 十波羅蜜
1布施波羅蜜 ふせ
だんな
檀那
見返りを求めず施し(財施・身施・法施)を行うこと
2持戒波羅蜜 じかい
しら
尸羅
規律を守り身を慎むこと
3忍辱波羅蜜 にんにく
せんだい
どんな困難をも耐え忍ぶこと
4精進波羅蜜 しょうじん
びりや
毘梨耶
たゆまず努力・精進すること
5禅定波羅蜜 ぜんじょう
ぜんな
禅那
どんなことが起こっても静かな精神を保ち心安らかなこと
6智慧波羅蜜 ちえ
はんにゃ
般若
真理を見極め、真理によって判断・処理できること
7方便波羅蜜 ほうべん
うはや
烏波野
間接的な手段で智慧を導き出すこと
8願波羅蜜 がん
はらにだな
波羅尼陀那
常に誓願を持ちそれを実現させること
9力波羅蜜 りき
はら
波羅
善行を実践する力と真実と偽りを判別する力を養うこと
10智波羅蜜
一切の真実を見とおす智慧を養うこと