十羅刹女

 十羅刹女(じゅうらせつにょ)とは、鬼子母神らとともに釈迦から法華経の話を聞いて成仏できることを知り、法華経を所持し伝える者を守護することを誓ったとされる10人の女性の鬼神です。 「法華経陀羅尼品」に登場します。

 異なる名前が登場する十大羅刹女や、八大羅刹女、十二大羅刹女、七十二羅刹女といった名称もあります。

玄奘訳 鳩摩羅什訳
名称 読み方 名称 読み方 説明 本地[1]
1藍婆 らんば 1有結縛 うけちばく 衆生を束縛し殺害する 上行菩薩
2毘藍婆 びらんば 2離結 りけち 衆生の和合を離脱せしめんとする 無辺行菩薩
3曲歯 こくし 3施積 せしゃく 歯牙が上下に曲がり甚だ畏怖すべき 浄行菩薩
4華歯 けし 4施華 せけ 歯牙が上下に鮮明に並んでいる 安立行菩薩
5黒歯 こくし 5施黒 せこく 歯牙が黒く畏怖すべき 釈迦如来
6多髪 たはつ 6被髪 ひほつ 髪の毛が多い 普賢菩薩
7無厭足 むえんぞく 7無著 むぢゃく 衆生を殺害しても厭わない、飽き足らない 文殊師利菩薩
8持瓔珞 じようらく 8持華 じけ 手に瓔珞を持つ 観世音菩薩
9皇諦 こうだい 9何所 かしょ 天上と人間の世界を自在に往来する 弥勒菩薩
10奪一切衆生精気 だついっさいしゅじょうしょうげ 取一切精 しゅいっさいしょう 一切の衆生の精気を奪う 多宝如来
[1]本地にはいくつかの説があるようですが、ここでは『妙法蓮華経三昧三昧耶秘密三摩耶経』の説を記しています。

参考

更新日:2021/05/01