五大明王

 五大明王(ごだいみょうおう)とは、密教特有の尊格である明王のうち、中心的役割を担う5名の明王を組み合わせたものです。

 いずれの明王も忿怒(ふんぬ)の相で火炎を背負い、髪は怒りによって逆立ち、法具や装飾品は極力身に付けず、法衣は片袖を破って動き易くし、武器類を手に持った姿で表現されます。

 なお真言宗と天台宗では北方の明王が異なります。

五大明王 構成
名称 読み方 配置 姿、特徴 真言宗 天台宗
1不動明王 ふどう〔みょうおう〕 中央 一面二臂、三鈷剣[1]と羂索[2]を持つ
2降三世明王 ごうざんぜ 東方 三面八臂、降三世印、大自在天(シヴァ)と妻烏摩妃(パールヴァティー)を踏みつけ
3軍荼利明王 ぐんだり 南方 一面八臂、三鈷印、顔は三ツ目で蛇を身に纏う
4大威徳明王 だいいとく 西方 六面六臂六脚、スイギュウにまたがる
5金剛夜叉明王 こんごうやしゃ 北方 三面六臂、正面の顔は眼が5つ
6烏枢沙摩明王 うすさま 北方 一面六臂や三面八臂
[1]三鈷剣は魔を退散させると同時に人々の煩悩や因縁を断ち切ります。
[2]羂索は悪を縛り上げ、また煩悩から抜け出せない人々を縛り吊り上げてでも救い出すための投げ縄のようなものです。

参考

更新日:2021/05/01