四弘誓願と五大願

 四弘誓願(しぐせいがん)と五大願(ごだいがん)は、いずれも菩薩が仏道を求めるとき最初に立てる誓願(=誓い)のことです。 菩薩が普遍的に追求すべきものであるとされ、全ての菩薩の共通の誓願で「総願」とも呼ばれます。

 多くの宗派が多少の語句の違いはあるものの四弘誓願を総願としているのに対して、真言宗は五大願を総願としています。

 四弘誓願と五大願の最大の違いは、如来に仕えることを誓う「如来無辺誓願事」が五大願に含まれていることで、それ以外は最初の「衆生無辺誓願度」が全く同じであることを含め、ほぼ同じ内容になっています。

四弘誓願
# 願名 読み方 意味
1 衆生無辺誓願度 しゅじょうむへん
せいがんど
地上にいるあらゆる生き物をすべて救済するという誓願
2 煩悩無量誓願断 ぼんのうむりょう
せいがんだん
煩悩は無量だが、すべて断つという誓願
3 法門無尽誓願智 ほうもんむじん
せいがんち
法門は無尽だが、すべて知るという誓願
4 仏道無上誓願成 ぶつどうむじょう
せいがんじょう
仏の道は無上だが、かならず成仏するという誓願

五大願
# 願名 読み方 意味
1 衆生無辺誓願度 しゅじょうむへん
せいがんど
生きとし生けるものの数は限りないが、誓って救いとることを願う
2 福智無辺誓願集 ふくちむへん
せいがんしゅう
福智と智慧とは限りないが、誓ってこの身に集め具えることを願う
3 法門無辺誓願覚 ほうもんむへん
せいがんがく
み仏の教えは限りないが、誓ってさとりを達成することを願う
4 如来無辺誓願事 にょらいむへん
せいがんじ
み仏の数は限りないが、誓ってそのすべてに仕えることを願う
5 菩提無上誓願證 ぼだいむじょう
せいがんしょう
み仏のさとりは無上のものだが、誓って実証体得することを願う