愛宕五坊

　愛宕五坊（あたごごぼう）は、唐の五台山に倣って愛宕山を中心に建立された５か寺のことで、愛宕五寺とも言います。

　天応元年(781)光仁天皇の勅に基づいて、奈良・大安寺の僧慶俊が本願主、和気清麻呂が奉行となって、のちに愛宕五坊と呼ばれる修行の道場が愛宕山を中心に開拓されました。 愛宕山は、大宝年間(701-704)に修験道の役小角と白山の開祖・雲遍上人（泰澄）が天狗の神験に遭って、朝日峰に神廟を設立したのが開基とも伝えられています。

　寛文５年(1665)刊の『扶桑京華志』によれば、当時すでに日輪寺と伝法寺は失われ、場所も分からなくなっていたようですが、現在の月輪寺の山号が鎌倉山であることから、伝法寺と月輪寺の関係がうかがえます。

愛宕五坊	現在
朝日峰　白雲寺	明治３年(1870)廃仏毀釈で廃寺となり、愛宕神社として存続
大鷲峰　月輪寺	月輪寺
高雄山　神願寺（高雄山寺）	神護寺
龍上山　日輪寺	廃寺
賀魔蔵山　伝法寺	廃寺

● 扶桑京華志（出典：『新修京都叢書』）

愛宕山　在_二小倉^ノ山北^ニ_一 一作_二愛當山_一 一曰_二愛太子_一 一曰_二阿太胡_一 一曰_二愛宕護_一 以^テ_レ郡^ヲ名^ク 焉峰巒峭峻如^シ_二列屏^ノ_一 爲^リ_二王城^ノ奇峰_一也 其^ノ山有_二五岳_一 一^ニ曰^ク朝日^ノ岳建^ツ_二白雲寺^ヲ_一 今^ノ神廟鎮座^ノ地也 二^ニ曰大鷲峰乃月輪寺^ノ地也 三曰高雄山乃神願寺^ノ地也 四^ニ曰龍上山乃日輪寺^ノ地也 五^ニ曰賀魔藏山乃傳法寺^ノ地也 日輪傳法今失^ス_二遺址^ヲ_一 故不_レ知_二其^ノ處^ヲ_一

更新日：2020/02/02