『住居表示に関する法律(昭和37年5月10日法律第119号)』
略して『住居表示法』は、住所の住居表示(○○△丁目◇番☆号)化によって、合理的な住居の表示を目的とするものです。
日本全国の多くの自治体、特に都市部の自治体がこの法律に基づいて積極的に住所の住居表示化を進め、町名が統合・整理されました。 その結果、住所が分かりやすく便利になった反面、多くの歴史的地名が失われてしまいました。
そんななか、京都市だけは政令指定都市で唯一これを導入せず、お陰で今も歴史的地名がそのまま残っています。 一部に○○△丁目がありますが、これも住居表示法によってできたのではなく、ずっと昔から使われてきた歴史的地名です。
京都市が住居表示を導入しない理由は寡聞にして知りませんが、私は次のように考えています。
1)もし京都市長が『住居表示を導入して町名変更します』なんて言い出したら、恐らく『市長やめろ』の大リコール運動が起こるでしょう。 私も当然リコールに署名します。
2)市内周辺部に通り名表示(○○通△△上ル)はありませんが、市内中心部の旧市内では今も便利にあたりまえに使われています。 ちなみに、「上ル」「下ル」の「ル」はカタカナで書かれることが多いのですが、今はひらがなで「上る」「下る」と書くのが正しいそうです。
3)公にこんなことを言うと『また京都人が上から目線で・・・』と言われかねないので、口に出して言う人はないと思いますが、心の中では多くの京都人がこう思っているはずです。
便利さ一辺倒ではなく、良いと思ったものはどんどん外部から取り入れ、そしてとことん守り抜く。 商売や芸能においても伝統を守りつつ常に時代にマッチした変化を追い求める。 この革新性と保守性の二面性を併せ持っていることが、平安京が造られてから1200年を経ても、今なお京都という街が世界に誇る日本の代表都市であり続ける理由だと思います。
更新日:2021/03/13