通り名

　京都では細い通りにも名前が付いている場合があり、場所を示す時にその通り名が使われます。 そうした通り名を簡単に覚えるための工夫として、数え唄のように通りの名前を並べた唄が作られ長く愛唱されてきました。


東西：丸竹夷（まるたけえびす）

　京都の東西の通りを北から並べて唄にした「丸竹夷」は古くから口伝えに伝えられてきたもので、いろいろなバリエーションがあります。 そのなかで一番良く知られているのは次の歌詞です。

歌詞通り名
丸竹夷二（まるたけえびすに） 押御池（おしおいけ）
姉三六角（あねさんろっかく） 蛸錦（たこにしき）
四綾仏高（しあやぶったか） 松万五条（まつまんごじょう）
雪駄（せきだ）ちゃらちゃら 魚（うお）の棚（たな）
丸太町、竹屋町、夷川、二条、押小路、御池
姉小路、三条、六角、蛸薬師、錦小路
四条、綾小路、仏光寺、高辻、松原、万寿寺、五条
雪駄屋町（楊梅）、鍵屋町、銭屋町（的場）、魚の棚（六条）
六条三哲（ろくじょうさんてつ） とおりすぎ
七条（ひっちょう）こえれば 八九条（はちくじょう）
十条東寺（じゅうじょうとうじ）で とどめさす
六条、三哲（塩小路）
七条、八条、九条
十条、東寺

　しかし、上の歌詞は語呂を優先したためか三哲や東寺の順番が実際とは異なっています。 せっかく覚えるなら順番が正確で実用的な次の歌詞（後半のみ）がお薦めです。

歌詞通り名
＜前半同じ＞
七条三哲（ひっちょうさんてつ） 通りすぎ
八条（はっちょう）越えれば 東寺道（とうじみち）
九条大路（くじょうおおじ）で とどめさす
七条、三哲（塩小路）
八条、東寺道
九条


南北：寺御幸（てらごこ）

　京都の南北の通りを東から並べた唄に「寺御幸」がありますが、こちらは一度途絶えていたものを過去の史料をもとに再編されたものです。

歌詞通り
寺御幸麩屋富（てらごこふやとみ） 柳堺（やなぎさかい）
高間東（たかあいひがし） 車屋町（くるまやちょう）
烏両替（からすりょうがえ） 室衣（むろころも）
新町釜座（しんまちかまんざ） 西小川（にしおがわ）
油醒井（あぶらさめがい）で 堀川（ほりかわ）の水（みず）
葭屋猪黒（よしやいのくろ） 大宮（おおみや）へ
松日暮（まつひぐらし）に 智恵光院（ちえこういん）
浄福千本（じょうふくせんぼん） さては西陣（にしじん）
寺町、御幸町、麩屋町、富小路、柳馬場、堺町
高倉、間之町、東洞院、車屋町
烏丸、両替町、室町、衣棚
新町、釜座、西洞院、小川
油小路、醒ヶ井、堀川
葭屋町、猪熊、黒門、大宮
松屋町、日暮、智恵光院
浄福寺、千本

参考

更新日：2022/03/18