丹後國中順禮歌 丹後史料叢書 第4輯
原典:丹後舊語集 享保20年(1735)

寛文12年(1672)に自保由心が開創しました。

No 丹後舊語集 現在
1 世屋山成相寺 浮世をば只成相とほふの船天の橋立渡せ極楽 成相寺
2 世屋山慈眼寺 濁る共淸くすませよ瀧の水大悲のちかひ深き谷川 慈眼寺
3 高原山達通寺 高原や親とも知らぬみどり兒が年重れば父母と記く ★調査中
4 荷王山振宗寺 波きりに落やひ瀧は淸水の音羽の分れ汲む人ぞ知る 振宗寺
5 尾金山 尾金山登り――て谷見れば黄金色なる山吹の花 延命寺境外仏堂 「金谷寺[1]」廃絶?
6 地料山 すかの村ちりやらんと尋ね見ばくりからせんに住る觀音 ★調査中
7 高照山正法寺 井ねのうらのほりくたりの歌舟も今宵はこゝにふりかゝりけり 正法寺
8 德來山泊隣庵 法華經の萬部のむつかそとばにてしのゝとまりに朝つまのうら 「泊隣寺[2]」廃寺
※ 昭和15年(1940)閉山、振宗寺に移管
9 平野山來迎寺 來迎の大慈のちかひあらたかにて二世の安樂住の江の里 来迎寺
10 吉野山上山寺 袖のうら吉野の山の上見れば駒を止めてつなぐまりやど 上山寺
11 鷲尾山尾阪寺 鳥の尾のしどろもどろの山道をも峯のかすみに晴るあきらか 「尾坂寺[3]」廃寺 /観音像は徳運寺
12 發信貴山縁城寺 村世界せうめう國の中の橋大慈のちかひあらたなるらん 縁城寺
13 生野山大慈寺 極樂へ行のに道も遠からず大慈大悲のちかひ成るらん 大慈寺
14 湖秀山龍獻寺 こしゆ山尋て見ればき津の岡はなれ行身を頼む觀音 竜献寺
15 寶貴山藥王寺 風吹葉波はころ――ほふきさんとまりの御寺たつはいちなり 中性院[4]
16 寶殊山如意寺 身のとがの淺き小舟のあかの水汲すてゝこそ如意の觀音 如意寺
※ 昭和39年(1964)、現在地へ移転
17 磯砂山笛原寺 井さなごやはこぶあゆみも面白し峯の松山吹や笛寺 笛原寺
18 禪定寺 けふの日もはやくれないになりにけり腰にたなびく紫の雲 禅定寺
19 小原山興法寺 小原山參る巡禮ふかくさの露の身頼む峯の觀音 興法寺
20 岩屋山雲巖庵 佛とは何を岩間の今ぞ知るこけのむしろに雲なりの岩 雲岩庵
21 文殊觀音堂 くせの戸をのりゑて渡るかの岸に浮ひあかるをとふや順禮 智恩寺
22 巖松山如願寺 たへなるや巖松の藥師觀世音たゞ一禮におがむ瀧かみ 如願寺
23 内宮觀音堂 有がたや大悲のちかひかうむりておひすぎぬれば外宮内宮 皇大神社 「観音堂」廃絶?
24 室尾谷觀音堂 うろの身をかへす其まゝ此世にてのり室谷にあふぞ嬉しき 観音寺
25 圓通山普門寺 有路川はありにし津みをかき流しのする心は有明の月 普門寺
26 慈惠山圓隆寺 我はたゞ佛に今ぞゑんわらへのちのよ頼むちかひまさしき 円隆寺
27 紫雲山萬願寺 ありがたやちかひまさしき御ちかひ願ひあふせて萬願寺哉 満願寺[5]
28 水淸山仁壽寺 たけべ山いなへ田邊のしゆらかくに居乍ら拜む水淸觀音 仁寿寺
29 靑葉山天台寺 けさ見れば一二の雨のうるほひに靑葉の山は常盤なりけり 天台寺
30 鹿原山慈恩寺 釋迦よりも今に變らぬ世の中に彌勒に合ふも心成べし 金剛院(慈恩寺)
31 醫王山多禰寺 ありたうと佛陀にたまへあしきだに五逆十惡去りてたまへよ 多禰寺
32 補陀落山觀音寺 荒とふとちかひを願ふ觀世音安樂世界彌陀の淨土へ 観音寺
33 靑葉山松尾寺 行くれて願ふ心はいかばかりまきわに成し十聲一聲 松尾寺
[1]「与謝郡誌(1923)」P1073の金谷寺(きんこくじ)及び小金山(おがねさん)の項に以下の記述がありますが、仏堂の存在が確認できていません。 「野間村字野中(=現・京丹後市弥栄町野中)の支郷なる中山に廢殘の草堂ありて觀音を祀る。聞説く往昔小金山胎藏大権現(=小金山神社)の別當にて眞言宗に属し小金山金谷寺と號せり。・・・因みに云う金谷寺今同村中津延命寺の境外佛堂たり。」
小金山は「おおがねさん」と通称され、金儲けの神として多くの参詣者を集めたそうです。
[2]「与謝郡誌(1923)」P223の德來山泊隣寺の項に以下の記述があります。 「朝妻村字六万部(=現・与謝郡伊根町六万部)、本尊地藏菩薩、天文八年亥八月振宗寺三世南渓宗梅和尚開基創建享保七年再興安政四年修補。」
[3]鷲尾山尾坂寺は尾坂山の山頂からやや下った京丹後市網野町尾坂にありましたが、昭和34年(1959)の伊勢湾台風の被害で尾坂地区の離村が進み、昭和38年(1963)に本尊の観音像と薬師如来像が徳運寺へ遷されました。 昭和39年(1964)に尾坂の全戸が離村、残されていた尾坂観音堂も昭和45年(1970)の豪雪で倒壊しました。
[4]無檀家の薬王寺は、明治5年(1872)に迎接寺(こうじょうじ)(現・遍照寺)塔頭の中性院を移したことにして、廃絶を免れました。
[5]寺名は「満」願寺ですが、地名は「万」願寺と書き、京野菜で有名な万願寺とうがらしの発祥の地です。

更新日:2015/11/07