その他	京都名所案内図会　明治２０年(1887)

１．名弥陀、名観音、名薬師

京都名所案内図会			現在
名弥陀
児如来	寺町五條上ル三丁目	瑞雲院	瑞雲院／児（ちご）如来
國寶如来	同	同	瑞雲院／（来迎図？）
抱取如来	寺町鞍馬口下ル	光明寺	光明寺／頼綱抱止阿弥陀如来
腹帯如来	三条橋東二丁上東	正栄寺	正栄寺[1]
證據弥陀	北山大平	勝林寺	勝林院／証拠の阿弥陀
腰懸如来	北野信盛丁	西方寺	西方尼寺／腰掛阿弥陀如来
女人往生如来	京極	安養寺	安養寺／逆蓮華の阿弥陀
課[2]形如来	松原	因幡堂内	「平等寺（因幡堂）塔頭　長伯寺[3]」廃寺
摂取如来	京極	了蓮寺	了蓮寺 ※ 明治３４年(1901)、現在地へ移転
腰押如来	河東	長德寺	長徳寺
慎[4]身如来	同	教安寺	教安寺
負分如来	下寺町	蓮光寺	蓮光寺／負別（おいわけ）阿弥陀如来
戰塲勝如来	西ノ京	東光寺	東光寺／戦場勝手如来
見顧如来	東山	永観堂	永観堂／みかえり阿弥陀
山越如来	祇園町	中源寺	仲源寺／山越阿弥陀
歯佛ノ如来	東山	正法寺	正法寺／歯仏阿弥陀
名観音
楊柳觀音		清水寺	清水寺／十一面千手観音
救世觀音		六角堂	頂法寺（六角堂）／如意輪観音
一言觀音		下醍醐寺	一言寺／一言観音｛千手｝
了[5]安觀音		秦[6]産寺	泰産寺／子安観音｛十一面千手｝
了[5]安觀音	田中	福禪寺	「福禅寺[7]」廃寺？
脂切觀音	北山	林丘寺	林丘寺
東向觀音		朝日寺	東向観音寺／東向観音｛十一面｝
川﨑觀音		清和院	清和院／河崎観音｛聖｝[8]
骨ノ觀音	五條高倉	西念寺	西念寺
愛宕観音		念仏寺	愛宕念仏寺／厄除千手観音 ※ 大正１１年(1922)、現在地へ移転
楊貴妃観音		泉涌寺	泉涌寺／楊貴妃観音｛聖｝
名薬師
薬師如来		叡山根本中堂	延暦寺　根本中堂
同　如来		太秦寺	広隆寺
同　如来		因幡堂	平等寺（因幡堂）／因幡薬師
薬師	東山	大興寺	大興寺／芝（しばの）薬師
布袋薬師	白川道	大福寺	大福寺／菩提（ほてい）薬師
蛸薬師	京極	永福寺	永福寺／蛸薬師
水薬師	塩小路村	医王院	水薬師寺／水薬師
寅薬師		誓願寺図子	西光寺／寅薬師
来奴乎薬師		薬師院	薬師院／こぬか薬師
夕顔薬師	寺町	矢田寺	矢田寺
児薬師		三條堀川東	「音徳寺[9]」廃寺　／児薬師は誓弘寺へ[10] ※ 明治初年、自火により焼失

[1]	「月堂見聞集（巻之八）」の正徳６年(1716)４月２５日の条❐に以下の記述があります。 「三條大橋東二丁目上る町、正榮寺腹帯如來開帳」
[2]	「裸」の誤記と思われますが、原文のまま「課」としています。
[3]	「山州名跡志（巻之二十一）」の平等寺の項に以下の記述があります。 「長伯寺　在二堂西東面一　本尊　裸形阿弥陀佛　立像三尺餘」
[4]	「随」の誤記と思われますが、原文のまま「慎」としています。
[5]	「子」の誤記と思われますが、原文のまま「了」としています。
[6]	「泰」の誤記と思われますが、原文のまま「秦」としています。
[7]	「雍州府志（第四）」❐に以下の記述があります。 「福禪寺　在リ二田中村ノ西ニ一元ト在リ二今出川檜ノ木茶屋ノ之傍ニ一」
[8]	現在は九州国立博物館に寄託されています。
[9]	「拾遺都名所図会（巻之一）」の中に以下の記述があります。 「兒（ちご）藥師　三條通油小路西にあり　音徳寺といふ」
[10]	「京都坊目誌（下京第一學區之部）」の誓弘寺の項に以下の記述があります。 「之に舊音德寺の本尊兒藥師像を安す。」

更新日：2015/04/09