奈良県橿原市の中心部にあり和歌にもよく詠まれた畝傍山（うねびやま）は、古来より人々の信仰を集めた。 そしてその麓には神武天皇の皇居である畝傍（うねび）橿原宮（かしはらのみや）が存在したとされる。 この橿原宮の跡地にたたずむのが橿原神宮だ。

　その創建は１８９０年と比較的新しい。 というのも橿原神宮に隣接して存在する神武天皇陵が、宮内省により指定されたのが１８６３年。 １８７７年頃から橿原宮跡の調査が始まると、やがて地元住民らから、神武天皇の碑の建立を願う声が相次ぎ、感銘を受けた明治天皇の勅令によって、１８９０年に橿原神宮が創建されることとなった。

　本殿は京都御所の内侍所（賢所）を、催事などで利用されている文華殿は天理市の旧織田家柳本藩邸を移築したものだ。 どちらも国の重要文化財に指定されており、神武天皇をまつる神宮に相応（ふさわ）しいものとなっている。