二十二社 下八社 |
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京都市の北方、鞍馬川に流れる貴船川上流に建つ。 周囲は木々が鬱蒼と茂り、夏でもいくぶん涼しい。 祭神・高龗神は水をつかさどる神。 伊邪那美命は、火の神・軻遇突智を産んだ際の火傷が原因で亡くなるが、その死を悲しんだ伊弉諾尊が軻遇突智を斬った時の現れた三神が雷神と山の神・大山祇神、そして貴船神社の祭神である高龗神だと『日本書紀』に書かれている。
社名の「貴船」にはさまざまないわれがあるが、由緒書によれば、万物のエネルギーである「気」が生ずる根源の地という意味の「氣生根」に由来するという。 また、神武天皇の母、玉依姫命が水源を求めて鴨川をさかのぼってこの地を訪れた際に、黄色の船に乗っていたことからこの名がついたという説もある。 いずれにせよ、水の神をまつる清らかな神社であることから、地名としては「きぶね」と濁るが、社名としては「きふね」と濁らずに発音する。
社殿は、本宮、結社、奥宮の3カ所に分かれており、先の伝説で玉依姫命がたどり着いた創建の地は奥宮。 玉依姫命の船を包み込んだとされる船形石があり、周囲の小石は航海安全のご利益があるといわれている。 創建の時期については定かでないが、666年にはすでに社殿を改修したとの記録が残されているから、それよりも前からこの地に存在していたことがわかる。
出所:『日本の神社100選』から抜粋
更新日:2019/02/11