吉祥院天満宮詳細録 第九章 p257 - 261
|第九章 (4/7)|
(三〇)吉祥院聖廟御法楽連歌の一部
天保十二年十月  法楽千句之内第九
  水[1]
 △賦何船連歌
啼かはし 河洲にむれつ 鴨の声  為定
枯たる芦辺 寒き霜風実教
ゆひざへぬ 垣つのすき間 顕はにて能儀
外面の末ぞ とほしみえける護信
一筋の 野中の道や すすぐらむ深厚
払ふ人なき 月の下露能全
かつ散て おのれみたる むら紅葉舜教
留らね秋や 暮て行らん成永
 云々

 △賦初何連歌
木毎にも ゆふかけてけり 今朝の雪  聡長
榊はうたう 声をはる場能儀
たきつたう 篝火消て 影もなし随正
すなとるふねに 浦かぜぞ吹実誠
打よする 波のあら磯 をかして紹悦
立もさわくも 千鳥也けり随巌
鼯の わたるしけみの 夕月夜常澄
三谷につづく あたり冷し常寔
 云々

 △賦玉何連歌
うぐいすや たかきに移る 森の松  順長
散にし梅は 匂いなき陰宗淵
春寒み 軒洩風の 猶吹て実教
栖をかこう 山こそはあれ随正
賤の男が 運びし万柴 積重ね随嵓
河舟なれや さし下すらん常寔
月残る 堤の霧間 明はなれ立誓
竹のは戦き 露ぞこおるる随伝
 云々

 △吉祥院天満宮連歌氏名と詠数
 (其の一) 総長[2]卿 一
能儀 九 随正十三 実誠 八 紹悦 九 随巌 八 常澄 一 常寔 一
実教十一 成永 一 護信 一 禅隆 一 教誠 七 立誓 二 成順 一
深厚 一 常雄 一 常似[3]一 善正 一 能全 一 舜教 一 実円 一
随伝 六 能金 六 護教 一 能信 四 信寂 一

 (其の二) 以長卿 一
禅隆 二 教誠 七 善正 二 護教 二 常澄 七 護信 一 紹悦 九
舜教 一 能全 一 常雄 一 能金 一 常寔 一 成順 一 能信 三
随嵓 八 随正十二 能儀 一 実教十一 実円 一 実誡[4]七 随伝 七
常佽 一 立誓 七 成永 一 深厚 一 心寂 一 正教 二

 (其の三) 為政 一
能金 八 随伝 二 常雄 二 実円 一 能儀 一 実誠 九 成順 一
教誠 八 舜教 一 護信 七 護宝 一 随正十三 常佽 一 護教 一
深厚 一 実教十一 善正 一 随巌 七 成永 一 能信 七 常寔 一
立誓 一 禅隆 一 紹悦 九 常澄 五 思観 二

 (其の四) 在久朝臣 一
能全 二 不明   能信 五 成順 一 実教十一 護教 一 実円 一
能金 一 実誠 七 成永 一 常澄 八 能儀 六 立誓 六 禅隆 一
随正十三 不明   深厚 一 常寔 一 舜教 一 常雄 一 随巌 七
護信 二 不明 七 常佽 一 善正 一 元盛 一

 (其の五) 為定
実教十一 能儀 二 護信 一 深厚 一 能金 一 舜教 一 成永 一
成順 二 随伝 九 能信 三 実誠 七 常澄 一 能金 七 実円 一
教誠 二 随巌 九 禅隆 一 常佽 一 護教 一 随正十三 紹悦 九
善正 一 常寔 一 立誓 六 常雄 二 元盛 二
[1]「水」の意味が不明ですが、とりあえず見たまま表記します。
[2]「聡(聰)」の誤植だろうと思いますが、原文通り「総(總)」と表記します。
[3]「誠」の誤植だろうと思いますが、原文通り「誡」と表記します。
[4]「佽」の誤植だろうと思いますが、原文通り「似」と表記します。

更新日:2021/02/06