吉祥院の産土神

 南区吉祥院の神社を村の鎮守産土神という観点で見てみましょう。 「村」の鎮守さまですから、当然、村ごとに産土神があるはずです。

 吉祥院の村の変遷を以下に示します。

元禄郷帳
p32/66 ❐

(1700)
天保郷帳
p34/69 ❐

(1834)
明治7年
(1874)〜
村合併
明治22年
(1889)〜
3村合併
昭和6年
(1931)〜
京都市編入
昭和30年
(1955)〜
南区成立
紀伊郡紀伊郡 紀伊郡紀伊郡 京都市下京区京都市南区
a 西庄村西庄村 西中村吉祥院村
大字西中
吉祥院西ノ庄吉祥院西ノ庄
b 中川原村中河原村 吉祥院中河原吉祥院中河原
c 吉祥院村之枝郷
新田村
吉祥院村枝郷
新田村
吉祥院村吉祥院村
大字吉祥院
吉祥院新田吉祥院新田
d 吉祥院村吉祥院村 吉祥院吉祥院
e 石原村石原村 石嶋村吉祥院村
大字石嶋
吉祥院石原吉祥院石原
f 嶋村嶋村 吉祥院嶋吉祥院嶋

 昭和6年(1931)に京都市に編入される前の吉祥院は、紀伊郡吉祥院村というひとつの村でしたが、それ以前は西中村、吉祥院村、石嶋村という3つの村でした。 さらに江戸時代にまでさかのぼると、枝郷の新田(しんでん)村を含めて6つの村でした。

 ここでもう一度、各神社の所在地を示します。

神社名所在地
住所学区旧村名
(1)松尾神社吉祥院西ノ庄東屋敷町祥豊西庄村
(2)松尾神社 天照皇大神宮吉祥院中河原西屋敷町祥豊中河原村
(3)松尾神社吉祥院三ノ宮西町
(旧住所:吉祥院新田弐ノ段町[1]
祥豊新田村
(4)三ノ宮神社吉祥院三ノ宮町祥豊吉祥院村
(5)吉祥院天満宮吉祥院政所町吉祥院吉祥院村
(6)石原松尾神社吉祥院石原町祥栄石原村
(7)嶋松尾神社吉祥院嶋笠井町祥栄嶋村

 現在の吉祥院の町名は旧村名を冠した複合町名[2]ですから、住所を見れば旧村名は明らかで、各神社がどの村の産土神だったか一目瞭然です。

 三ノ宮神社だけが、旧吉祥院村にありながら祥豊学区(祥豊小学校の所在地も三ノ宮町)に属して松尾神社の氏子圏という、微妙なポジションにあります。 この理由については、「三ノ宮神社」のページで考察しています。


[1]昭和35年(1960)に吉祥院の町の区画変更が行われ、吉祥院池ノ内町・吉祥院三ノ宮町・吉祥院新田弐ノ段町の各一部から吉祥院三ノ宮西町が誕生しました。 現在、松尾神社の北隣に新田町会館があり、葛野大路通で東西に分断される以前、この場所は吉祥院新田弐ノ段町の一部だったと推測されます。
[2]「吉祥院石原町」だけは例外的に「吉祥院石原○○町」となりませんでした。

更新日:2018/12/01