京の五つの岡

小畠川 駒札

 小畠川の駒札(右図)に「京の五ツの岡」の記述がありますが、これ以外に情報が見当たらず詳細は不明です。

 洛西から乙訓にかけて長く伸びる丘陵を古くは「長岡」と呼んでいました。 室町時代以降になると、京から見て西にあることから「西岡」と呼ばれ、丘陵だけでなく桂川右岸(西京区上桂以南全域、向日市、長岡京市)の広い地域を指すようになり、この地域の諸郷は西岡十一カ郷と呼ばれました。

五つの岡 読み方 現在の名称 場所
1西岡 にしのおか 向日丘陵 西京区大枝付近から向日神社にかけて、標高60〜80m程度

 京羽二重には「並の岡、八鹽岡、船岡、神樂岡、御輿岡、西ノ岡、日ノ岡」の7つの岡が記されていますが、御輿岡は地形でなく地名で選ばれています。 そこで私(管理人)が、地形に拘って不明の4か所を推定してみました。

五つの岡
(推定)
読み方 現在の名称 場所
2並の岡 ならびのおか 双ヶ岡 右京区御室双岡町、標高116m
3船岡 ふなおか 船岡山 北区紫野北舟岡町、標高111.7m
4神楽岡 かぐらおか 吉田山 左京区吉田神楽岡町、標高105m
5栗原岡 くりはらのおか 黒谷 左京区黒谷町・浄土寺真如町、標高約96m

● 京羽二重 [宝永2年(1705)]
⇒ 早稲田大学図書館
ならびの岡 京より一里ばかり也仁和寺の東の方の岡[也]上一村の松あり風雅後宇多院御製いろ/\に並の岡の初紅葉秋のさか野の行末に見る
八鹽やしほの岡 北山長谷のうへの山と云顯季卿歌あさからぬ八鹽の岡の紅葉ゝをなにあやにくにしくれそむらん
ふな岡 紫野大德寺の傍也世に千本の墓所と云は爰なり六条判官爲義のきられけるも爰也拾遺よみ人不知ふな岡の野中に立る女郎花わたさぬ人はあらしとそおもふ
神樂かくら岡 吉田山春日の社より南の方しけりたる松の木高き林の内小社を鎭まつれり是神樂岡の神吉田の地主なりぞ
御輿みこし岡 北野經堂の北也岡とは名のみにて平地なり勝定院殿御代に印に松を植られ井垣有之
西岡 桂川の西をさして云
岡 粟田口山の東なり

更新日:2022/11/30