十王

 十王(じゅうおう)とは、亡くなった人を冥途で審理(=生前の罪の取り調べ)する10尊の王のことです。 『十王経』類や恵心僧都源信の『往生要集』に詳細が記されています。

 十王の信仰は平安末期の末法思想や冥界思想と共に広く浸透しました。 鎌倉時代には十王をそれぞれ十仏と相対させるようになり、時代が下るにつれてその数が増え、江戸時代には十三仏信仰が生まれました。

 十王による審理は、亡くなってから7日ごとに担当の王が順番に1回ずつ行います。 そして7回の審理で六道のどこに行くかが決まるのですが、さらに救済処置として追加審理が3回行われます。

 ですから、審理のある7日毎に追善供養を行って十王に減罪を嘆願し、七七日(四十九日)で行き先が決まって死者があの世へ旅立つと、忌明けになります。 さらに三回忌まで追善供養を行って、死者が三悪道(地獄道・餓鬼道・畜生道)に落ちている場合は救済を願い、修羅道・人道・天道に居る場合は徳を積んでもらうわけです。

 十三王(じゅうさんおう)になると更に3尊の王による審理が3回追加されるのですが、これは追加の追加処置ということでしょうか。 七回忌からは法要の服装が平服でいいそうです。

構成
名称 読み方 審理 本地 十王 十三王
1秦広王 しんこうおう 初七日(7日目=6日後) 不動明王
2初江王 しょこうおう 二七日(14日目) 釈迦如来
3宋帝王 そうていおう 三七日(21日目) 文殊菩薩
4五官王 ごかんおう 四七日(28日目) 普賢菩薩
5閻魔王 えんまおう 五七日(35日目) 地蔵菩薩
6変成王 へんじょうおう 六七日(42日目) 弥勒菩薩
7泰山王 たいざんおう 七七日(49日目) 薬師如来
8平等王 びょうどうおう 百か日(100日目) 観音菩薩
9都市王 としおう 一周忌(2年目=1年後) 勢至菩薩
10五道転輪王 ごどうてんりんおう 三回忌(3年目) 阿弥陀如来
11蓮華王 れんげおう 七回忌(7年目) 阿閦如来
12祇園王 ぎおんおう 十三回忌(13年目) 大日如来
12法界王 ほうかいおう 三十三回忌(33年目) 虚空蔵菩薩

参考

更新日:2022/03/10