京都文殊 第九番 |
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浄土宗 本尊 阿弥陀如来 |
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河原町四条を一筋下って西へ行くと勝円寺があります。 道路が慶大を真二つに貫いているため小さな寺に見えますが、高島屋の裏側に位置する一等地で、一千坪を誇っています。
本堂の阿弥陀如来は高さ2メートル余のジャンボ坐像です。 この像を、第二次大戦も末期の強制疎開で本山知恩院へ運んだという記録を見て、住職青木正道さんは「檀家衆が大型トラックもない時代にどうやって運んだか不思議でならない」と首をかしげます。
この寺では大変珍しい文殊さんが祀られています。 普通は獅子の背に文殊菩薩が乗った姿ですが、ここでは別々に安置されています。 獅子は高さ1メートル、背中に座布団が付けられており、文殊さんを体験したい人は自由に乗れるというものです。 文殊霊場が発足したとき、勝円寺は掛軸の文殊さんをお祀りしていました。 ところが檀家の村田九郎兵衛さんが自宅に保存していたこの像を寄進されたものです。 文殊菩薩は微笑をたたえた慈悲の表情、極彩色の獅子の目は欲望をむきだしにした姿です。 この両極の表情は人間そのものかもしれません。
知恵授く菩薩はいずこ
ながでらの
空けし文殊の
獅子乗りてみよ
この一首は住職の作ですが、文殊霊場めぐり第九番、納めの寺にふさわしい像です。
寺伝によりますと、永正元年(1504)東洞院五条の地に創建され、天正15年(1587)に豊臣秀吉の命で現在地に移転しました。 当時は塔頭4院を含め3000坪の広大な寺域でしたが、市井の運命でたびたび火災にあい縮小をよぎなくされた寺です。 寺号は勝円という仏師から名付けられました。
出所:『京の福神めぐり』
≪山門≫
四条河原町のすぐ近くですが、この一帯には寺が集積していて墓地も多く残っています。 |
≪「京都文殊霊場」札≫
ここでも霊場札はしっかりと山門に掲げられていました。 |
≪獅子像≫
許可を得て撮影させていただきました。 極彩色の美しい像で、この上に乗るのはちょっと畏れ多いなぁ。 |
更新日:2021/12/16