二十二社 中七社 |
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奈良盆地を流れる富雄川、佐保川、初瀬川、寺川、飛鳥川、曽我川、葛城川、高田川。 この8つすべての川の合流地点に建つのが水をつかさどる神をまつる廣瀬大社だ。 合流した川はこれより一つにまとまり、大和川と名を変える。 創建は紀元前89年。 廣瀬の河合の里長に龍神から「この地の沼から去る」とのお告げがあり、その後一夜にして沼地が陸地となり、高貴な樹木とされる橘が数千株生えた。 このことを聞いた崇神天皇が、その地に社殿を建てるように命じたという。
祭神は若宇加能売命。 「宇加」は穀物をつかさどることを意味し、「売」は女神を指す。 社伝によれば、伊勢神宮外宮の豊宇気比売大神、伏見稲荷大社の宇加之御魂神などと同一視されており、五穀豊穣、商売繁盛のご利益があるという。 その後、天武天皇が風と水を治めれば天下は安泰と考えたことから、大和川を挟んで西側にある〝風の神〟龍田大社と一対の社として信仰されるようになった。
廣瀬大社で有名なのが「砂かけ祭」。 境内に忌竹を立てて注連縄を張って囲んだ御田に、牛と田人に扮した氏子が、松葉でつくった苗を使って田植えの所作をする。 そこへ子どもたちが斎庭の砂を激しくかけるというもので、砂を雨に見立てて、豊作を願う祭儀だ。 この祭儀は、天武天皇の時代、675年に始まった大忌祭の行事の一つ。 砂は水とも同じ意味をもつため、清めの役割も果たすことから、厄よけの行事としても知られる。
出所:『日本の神社100選』から抜粋
更新日:2019/04/30