法然上人二十五霊場
第十八番
かま くら やま つきの わ でら
鎌倉山 月輪寺
天台宗
本尊 阿弥陀如来
御詠歌月影つきかげの いたらぬさとは なけれども
 ながむるひとの こころにぞすむ
住 所
電 話
URL
備 考

 京都王城の西、愛宕山の中腹、鎌倉山月輪寺と号す。 大宝四年四十一代文武天皇、泰澄大師に勅して建立、さらに四十九代光仁天皇、慶俊僧都に勅して朝廷の旨ありて、神廟と共に和気清麿再建せる国家鎮護の霊場となす。 後に空也上人この地において念仏の理(ことわ)りを聞いた所とありて霊験奇瑞の地なり。 本尊千手観音(重文)は清水楊谷[1]の観音と同じく、田村麻呂将軍の自作なり。 その他阿弥陀如来(重文)源信和尚自作、空也上人(重文)立像、御自作九条兼実公(重文)座像その他多数の(重文)仏像を有す。 法然上人この霊地に入りて念仏を専修あらせられける時、九条関白兼実公深くその徳に帰し、入道円証[2]と号しこの月輪寺に遁世し給う。 その後、法然上人より深く念仏の奥儀を聴聞し、後の世のために『選擇本願念仏集』の制作を依頼す。 その事から法然上人を常々御招きして仏縁を結び給う。 しかるに法敵の強訴によりて親鸞と共に配所に趣き給う時に当たり、両上人相伴って公の幽棲を訪い名残惜ませられ、各自に木造を刻みて末の世の形見となし給う。 これを三祖師の尊像と称し、今に至るまで崇敬怠たらざる所なり。 なお当寺、親鸞廟前に一株の桜を手植えし、我らが勧むる所の他力念仏の一法末代に弘通せば、この桜も必ず繁茂すべしとありしに無心の桜もその徳に感ぜしや、たちまちその梢より露を滴らすこと雨の如し。 名付けて時雨桜と言う。 今も昔の如し。

 法然上人の御歌 月影の至らぬ里はなけれども眺むる人の心にぞ住む「本願信受の心」(十八願)

出所:『圓光大師 法然上人御霊跡 巡拝の栞』



 月輪寺の参道は厳しい山道のため、参拝するには登山の服装と運動靴・杖などが必須です。 私の仲間内では健脚で通っているMさんでさえ「キツカッタ!!」と言うほど。

[1]清水寺と楊谷寺(柳谷観音)のことです。
[2]法名を「円澄」とする情報も多く見られます。恐らく、「証」の旧字である「證」のくずし字が「澄」とよく似ていて、どちらとも読めるからでしょう。

更新日:2015/03/03