近畿三十六不動尊
第二番
あり す ざん せい こう いん きよ みず でら
有栖山 清光院 清水寺
和宗
本尊 十一面千手観音菩薩
札所本尊不動明王(石造立像)
御詠歌たふとしや 大江の岸の 不動さま
 滝も玉手の 名にかがやきて
住 所
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備 考

 天王寺区伶人町、如何にもスマートな町名である。 これは、昔、伶人(四天王寺舞楽の楽人)が多く住んでいたところから、こう呼ばれるようになったのである。

 四天王寺の西方約三百米のところにあるこの寺は、詳しくは、有栖山ありすざん清水寺清光院と云い、夕陽が丘の高台の上に建っており、往古の精舎神窟の跡と伝えられている。 もとは有栖うす寺と呼んでいたが、寛永十七年(1640)に中興延海えんかい阿闍梨あじゃりが、京都東山の清水寺に模して改構したもので、本堂西側のがけに、材木を組み上げて作った舞台(清水の舞台)等、京都清水寺そっくりであったと云う。 「浪速名所絵図[1]」や明治初期の清水寺全景写真でこのことがはっきり分る。 また、享保年間に寺号を新清水寺と改めた記録もあり、現在も、新清水寺と呼ぶこともある。

 さて、寺の南側の石段を下って東へ進むと滝がある。 崖の上から、三条の水が落ちており、その奥の石窟の中に不動明王石仏、二童子、八大龍王神等がお祀りしてある。 これが大阪市内で唯一の天然の滝として有名な、玉出の滝である。 この水源は、四天王寺金堂下にある青竜池と云われ、そこから流れ出て滝となったもので、地下鉄谷町線は、この水筋の上を通っている。

出所:『近畿三十六不動尊』から抜粋


 地下鉄谷町線四天王寺前夕陽ヶ丘駅から徒歩7分。
≪玉出の滝≫
 三条の水の奥にある石窟の中に、石造立像の不動明王と矜羯羅(こんがら)童子、制多迦(せいたか)童子、八大龍王神が祀られています。

[1]「摂津名所図会」の誤記ですが、「浪花百景」との混乱も考えられます。
「摂津名所図会 東生郡 二」清水寺有栖川古跡(国立国会図書館デジタルコレクション)
「浪花百景」新清水紅葉坂瀧(東京都立図書館)
「写真浪花百景」新清水音羽瀧(大阪市立図書館デジタルアーカイブ)

更新日:2018/11/02