近畿三十六不動尊 第三番 |
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真言宗泉涌寺派 大本山 本尊 大日大聖不動明王 |
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田辺のお不動さんとして親しまれているこのお寺は、詳しくは、紫金山小松院法楽寺と云って、真言宗泉涌寺派の別格本山である。
この寺は、今から八百年前の治承二年(1178)に平重盛が創建したもので、広大な寺域には堂塔伽藍が建ち並び、威容を誇っていたと伝えられる。 平重盛は、仏教に深く帰依し、中国(当時の宋)の育王山仏照国師の高徳を慕い、金三千両を送って来日を願ったが、仏照国師はいろいろ事情があって応じられなかった。 ために国師は、紫金の仏舎利二個を重盛公に送った。 公はここ田辺の地に法楽寺を建てて仏舎利をお祀りすると共に、亡き源義朝が祀っていた如意輪観世音菩薩を共にまつって、敵方源氏の菩提も共に弔ったということである。
門を入ると、右側に樹令[1]八百年以上と云われ、大阪で二番目の老樹で、保存樹の指定を受けている楠の大樹がある。 重盛公がここにこの寺を建てた源平の時代より、この楠はここに繁り、じっと、世の流れ、人の情の移り変わりを見て来たのである。 幹の周り五かかえ以上もあり、今なお勢いよく繁り、夏には参拝者のために、広く涼しい憩いの日陰を作るこの大樹を見ていると、八百年間の歴史を語りかけてくれるようである。 なお境内には沢山の老樹、大木が繁り、緑豊かな実に美しい寺である。
出所:『近畿三十六不動尊』から抜粋
[1] | 手書き原稿は略して「樹令」と書かれたのでしょうが、正しくは「樹齢」でしょう。 |
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更新日:2018/11/02