吉祥院天満宮詳細録 第十章 | p283 - 291 |
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第十章 吉祥院天満宮と氏子並一般との関係
○先文改以前及現今の年中行事を参考に記載す。
一、正月 元旦未明両天十二灯燃之
一、三ケ日両天末社神供備之 (菜、蜜柑、柿栢搗𣗖三ケ日御飯斗替之備)
一、元旦神供壱膳宛御飯 (料理小土器二ニ壱蜜柑今壱ニ柿、栢搗𣗖箸添神折舗入遣之)
右西新田村(山本平八郎、林徳兵衛)、 北条(薮田惣兵衛、山下勘左衛門)、 西条(石原藤兵衛)、 東条(恩田治兵衛)、各為持遣之
一、三日四日御礼支度包札 (中天満宮御牛玉一板入、紙内外共伊予杉原)
一、五日御礼支度 (御供物古餅一重宛餅切形板本有之)
一、六日明七前支度 (御所司代 両町奉行)御礼 (所司代名札斗、両奉行所青銅二十疋宛持参之)
各御目見仕候 (御町両組不残各名札持廻り申候、御城番城氏へ礼祝儀共相止候)
一、七日御堂上方御礼各御礼供物台乗上之
一条様、 日野様、 勧修寺様、今城様、 菅家六軒、 (勧修寺様へは巻数供物上之、 菅家四軒ハ各辺木に乗上之)
右巻数並月次包神供洗米 (包様折形巻数中外認様文書等別本有之)
一、八日 (東寺御門前町方等御札持参礼廻り申候、村方礼勝手相勤申候)
一、十三日両天末社月次神供備之
○正五九月安田源右衛門永代月供備之右年三度包神供為持遣也[1]
一、十四日修正会両天末社神供備之 (修正会作法神名帳読祈念勤之
例年氏子中打寄富奥行吉祥天御包札五枚御札認様
吉祥天女修正会御祈祷御札 別当職
中札吉祥天御影一枚小札 (富一より五迄突之御札大鼓ばち一対為福たばこ入遣之)
今日暮方小島村ヘ神供二杯遣之(辺木に乗御供丸少平大小一重宛遣之)
修正会御祈祷富相済神供御飯壱宛
(三ケ所政所ヘ為持遣之神折舗入箸添)
一、十五日早朝左儀長 (朝飯後村方ヘ御札配小島村ヘモ天満宮小札斗遣之
一、二十五日両天末社神供備之 (日野様神供壱膳上之、御飯節有之)
小土器五ニ (梅干、菊輪、小露厂松葉 紅梅香、各数五ツ宛、勧修寺様ヘモ日野様返上之 白箸吉野杉原包
天明七未年より正五九三度篤良様ヘモ神酒土器三枚添之、神酒瑞片宛洗米壱包添上之、高辻様ヘ包神供土器三枚箸包洗米上包添之、箱ニ入上之、五条様ヘ 洗米壱包箱ニ入之、東寺岡本若狭殿ヘ 包神供箱ニ入遣之)
○安田源右衛門永代月供備之正五九包神供遣之
○平塚伊左衛門永代月供備之正五九包神供遣之
一、今日両天ヘ神供西条中より備之 (近年神供田荒候ニ付此方ヘ頼ニテ神供料各年ニ玄米壱斗被納之、 御飯壱杯神酒錫片干菓子小半斤添遣之
一、今日政所町中此方茂連中ニテ高馬場ニ講田有之毎年御供料玄米五升宛頭屋より納之、 今日天神講廻り相勤申候九ツ前町中子共家に不残頭屋参九時家主遣分参集御料理酢和大根柿青味平揚豆腐水菜汁菜薄く白豆腐薄く飯神供壱杯神折舗ニ入頭やヘ遣之箸添
一、正五九ノ 十三日十二ノ 三十日百灯明燃之
右天明三癸卯年より申下刻より戊[2]刻迄燃之願主有之銘々名札並所板名札有之、灯明料永代掛切銀三十目ヅツ、
右灯明料銀子氏子中預テ利銀を以永代燃之油代度々氏子中より請求シ燃之筈ニテ大方一度油四升程も入申候也
一、二月 朔日十五日廿八日 両天内神御灯燃之 御飯備之。
一、初午稲荷御社ヘ神供五膳備之 赤小豆飯、御料理小土器二つニ干物肴備之。
一、初卯講九人廻勤人数 (石原藤兵衛、石原又左衛門、石原藤右衛門、石原市郎右衛門、北村次右衛門、薮田源右衛門、長右衛門、石原市正、石原藤兵衛方二人分勤之)頭屋料理朝鱠、塩、焼物生肴汁(すまし肴)酒肴三種夕飯平坪焼物汁ニテ。酒肴三種。
一、十三日両天末社ヘ月次御神供備之。
一、二十五日 天満宮御神事 両天末社神供備之。 (内祝艾団子、 日野様、勧修寺様、 高辻様、五条様、 各神供洗米如例上之)
一、今日例年 東条より両天末社ヘ神供備之、
(町内有僧衆参詣)
天満宮ヘ御百度被相勤候神酒一升備之、各天女堂ニテ頂戴之。
一、今日天満宮ヘ御湯上之 (訪諏[3]社神子来勤、落付艾団子煮染ニテ出之夕飯御湯後綜々出之。
御酒出之則御湯料遣之、次湯有之候得ば御湯前申聞願主神前に下札有之宣候。
一、今日天満宮御筆三部経箱入
右参詣之諸人ヘ為致項[4]載之候、
一、今晩天明三癸卯より年より両天ヘ百灯燃之、施主有之名札。△
一、松尾旅所[5]梶原主膳殿方ヘ例年榊枝大枝三本小枝百二十本遣之来候、初尾青銅十疋為持来月朔日請取来候間二十九日三十日枝伐置可申候、且又当村御面仲間来月二日御面講頭屋御檀築申候節榊持遣之当社末社迄榊頭屋より指止り申候、是又此方より榊枝遣来候、本社末社十本仲ケ間八軒九本御面通筋之家々頭屋ニテ分家数不問に候是又一本宛指申候
一、松尾御出神事御面奉掛榊両度二本例年、是又此方より遣来候両度共頭屋より早朝申請来来る見立伐遣之。
△拝所板札有之油料残以一人前、銀三十目宛納之此銀氏子中ヘ預り利銀ニテ永代燃之候都度ニ油代氏子中より払之候申刻より戍[6]下利迄燃之油四升程も入候。
一、三月朔日十五日廿八日両天内神御灯可燃之御飯備之。
一、松尾大明神御出御面講中供奉△
頭屋より社人小児一人御面守一人長柄傘箱𤊬灯持御面天気に候得ば榊に移雨天に候得ば長柄に奉移之
高𤊬灯迎の節出之頭屋にて出立仲間各神酒頂戴仕肴三種醍醐田迄、中食御酒一升頭屋より出之、茶腕並樽呑口持参有之結候御面供奉最後頭人麻上下其外連中茂はかま着侍之先に枝突入申候大方連中衆内勤遣之。
一、三日両天末社艾餅白餅菱備之、内祝赤飯、
一、十三日両天末社月次神供備之、
一、二十五日右同断
一、△松尾大明神御出七日前日御面下行米頭人方より請取遣之則旅所社務渡辺氏方ヘ請取書持参請取也、請取認様、松尾御神事御面下行米の覚
一、米三斗四升也
右慥請取申処仍而如件
年号月日 吉祥院村年番 名印
松尾旅所渡辺備後守殿
[1] | ここだけ「遣也」で、他は「遣之」と書かれています。「也」の崩し字が「之」とよく似ているため、双方向の誤読があるかもしれません。 |
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[2] | 「戌」の誤記と思われますが、原文通り表記します。 |
[3] | 「諏訪」の誤記と思われますが、原文通り表記します。 |
[4] | 「頂」の誤記のように思いますが、原文通り表記します。 |
[5] | 松尾大社の松尾祭の神幸祭・還幸祭では、嶋松尾神社の榊と石原松尾神社の御面とを合わせた「榊御面」が、神輿行列の先頭に立ち巡幸中の安全を守る役割を担っています。 |
[6] | 「戌」の誤記と思われます。これ以降何度も登場しますが、すべて原文を見た通り「戍」と表記します。 |
更新日:2021/02/11