21日の弘法さん

 弘法大師(こうぼうだいし)空海(くうかい)は平安時代初期の僧で、真言宗の開祖であることはご存じの通りです。 そして「大師」と言えば弘法大師を意味するほど、大師号を賜った高僧のなかでもずば抜けた知名度があります。

 また「弘法筆を選ばず」とか「弘法にも筆の誤り」という諺(ことわざ)が生まれるほどの能書家で、嵯峨天皇・橘逸勢とともに三筆の一人とされています。

 ちなみに、空海は何の字を間違えたかご存じでしょうか? 実は「應天門」の額を書いたときに「應」の字の上の点を書き忘れたそうです。 額が門の上に掛けられてからその事に気が付いた空海は、なんと筆を投げ上げて額に点を書き加えたそうです。

 他にも超人的な逸話がたくさんあるスーパースター空海の亡くなった日が、承和2年(835)3月の21日でした。

 空海の亡くなった月命日を縁日として多くの参拝者が集まり、その人々を目当てに露店が並ぶようになったのが、東寺の「弘法さん」の市の始まりです。 「弘法さん」は毎月21日に行われますが、特に1月21日の初弘法と12月21日の終(しま)い弘法は、正月用品などを買い求める多くの善男善女で賑わいます。


修行大師像
(東寺)