第二十三番
く おん ざん じ ぞう じ
久遠山 地蔵寺
浄土宗
本尊 地蔵菩薩[1]
札所本尊十一面観世音菩薩
御詠歌なにしをう つきのかつらの のりのふね
 こえてくおんの はなのみやこへ
住 所
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備 考通称:桂地蔵

 京都六地蔵巡りの一つである地蔵寺は、本堂に地蔵菩薩をいただき、本堂東側の薬師堂に鎌倉初期石仏である薬師如来(秘仏)が安置されている。

 その両脇に静かに二体の観音菩薩像がある。 この二体の観音菩薩が、第二十三番・第二十四番[2]に数えられるものである。 それぞれ詳細な縁起は伝わってはいないが、共に優しき御姿を私たちの目にも心にも映してくれている。

 共に地蔵寺に遷座されることになったのは、地蔵菩薩と同じように古くより庶民の信仰を多く集めていたからかもしれない。 観音菩薩は、別名観自在菩薩ともいわれ、娑婆世界で苦しむ衆生を常に見つめており、その中で苦痛や不幸に喘ぐ衆生を神通によって救済しようと願いをたてた。 また、地蔵菩薩は六道輪廻に迷う衆生を導き、薬師如来は妙薬である甘露水によって病気に苦しむ衆生を癒す。

 私たちはこの世界に生まれてから今までに、何か苦しみを抱くことがあるだろう。 そのとき苦しみから救ってくれるものを求めている。 その願いが形をもって現れたものが、これからの如来や菩薩の御姿なのだと思える。

 薬師如来の両脇の観音菩薩像は、そのような私たちの想いを全て知っているかに思える面相や形相を具えている。 また何度も修理を行い、装飾を施してきた様子からも、多くの人々の信仰を集め、その願いを受け止めて来たのだろう。

出所:『らくさい 京都洛西観音霊場札所案内』


[1]寶印帳(朱印帳)には「本尊 阿弥陀如来」と記されていますが、他の文献情報から「本尊 地蔵菩薩」としました。
[2]旧24番の念仏寺(廃寺)の観音菩薩像です。

更新日:2014/12/29