第七番 |
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時宗 本尊 准胝観音菩薩 |
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伝教大師入唐の際、海上にわかに暴風雨起こり、船まさに破れんとした時、大師舳先にすゝみ、除難のため三宝の救護を祈願し給うに、忽然として光明照躍して、二頭の龍神その頭に准胝観世音を奉戴して大師の船側に近づき、観世音菩薩大師の御衣に飛び移り給うと覚えて、風波静まり無事御帰朝の後、この海上示現の尊像を自ら刻んで、当寺の御本尊としてまつられ、霊験たぐいなく古来勅願所として歴代天皇の御帰依深く、勅封の秘仏として奉安せられ、歴朝の御即位式および御厄年に、勅使御代参あって、その侍立の下にのみ開帳せられることを恒例としてきた。
明治初年より勅使御侍立の儀は廃止されたが、陛下御即位にあたり御開帳される行儀は現在に至るまで護られ、平常は秘仏の御本尊とされている。 二頭の龍神が守護された准胝観世音菩薩の御尊像はまことに希有なお姿であり、都の平安を御祈願されるにふさわしく、平安朝には京の七観音の一つにかぞえられ、古来よりその信仰がひろまっていた。 延暦24年(805)桓武天皇の勅命により伝教大師がその御本尊をまつり創建され、平成17年(2005)で当寺創建より千二百年にあたり、その歴史は御本尊の御加護の証に他ならない。
出所:『洛陽三十三所観音巡礼』
更新日:2015/11/29